- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2018年06月 優秀賞発表
- 俳句庵 2018年06月 作品一覧
俳句庵
6月『夏野』全応募作品
(敬称略)
- 岐阜県 金子加行
- 開拓の歴史を覆う夏野かな
- 置去りの老人立たす夏野かな
- 寝転びて彩りあると知る夏野
- 一粒の吾を置きたる夏野かな
- 叫びたき夏野の匂ひ旅に会ふ
- 宮城県 石川初子
- 尽きるのを知らず競える夏野かな
- 大阪府 金成愛
- わたくしにつながるあなたへの夏野
- 大夏野真っ正面にミズハノメ
- 夏野行く愛に踏みこむやうにゆく
- なんにでもなれるなんにもない夏野
- 愛知県 岩田遊泉
- 鳥人の群れ抱かれて夏野原
- 見下ろしぬ大仏殿や大夏野
- 鬨の声聞こえ来るかに夏野原
- 少年の夢の遥かな夏野かな
- 富士眺む夢の夏野の何処なる
- 愛知県 傑
- 翼立て スクランブルや 大夏野
- 白雲を 次々に生む 夏野かな
- 浅間山 噴煙かすか 夏野かな
- 寝ころべば 何故か大の字 夏野かな
- 新潟県 近藤博
- 果てしなき夏野に在りし鉄路かな
- ローカル線車窓に走る大夏野
- 夏野ゆく草のいきれにへとへとと
- 草いきれ噎せる道ゆく夏野かな
- それだけに道は一すぢ夏野かな
- 千葉県 小松将
- 夏野駆ける いつも戻れる あの頃に
- 夏野には 何かがいるよ 好奇心
- 夏野にも 子供にもきた 成長期
- 夏野にて 勝負の時 背比べだ
- 夏野から 漂う空気 夏運ぶ
- 大阪府 藤田康子
- いく山も越え来て休む夏野かな
- 過ぎゆくものを見つめてる夏野かな
- 兵庫県 岸下庄二
- 靴脱いで走りたくなる夏野かな
- 発電の風車の回る大夏野
- コーラスの練習始む夏野かな
- 遠汽笛聞こゆ岬の夏野かな
- 大夏野大人も混じる鬼ごっこ
- 千葉県 柊二
- カルストを喰みて夏野や国境
- 東京都 片桐啓之
- 夏野来て六地蔵見て夏野行く
- 行き先の定まらぬまま夏野行く
- 正面に富嶽大きな夏野かな
- 連れ添うて今は夏野を歩きをり
- いつの間に入り込みたる大夏野
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 中山の 夏野で競う 馬の足
- 駆け抜ける 人工芝の 夏野原
- 生い茂る 緑の草や 夏野かな
- 反射する 夏野についた 雨雫
- 夏野原 野生の馬が 走り抜け
- 神奈川県 守安雄介
- 夏野なる十四文字の無人駅
- 新任地夏野の風のアレルギー
- パラグライダー夏野の鳶となりにけり
- 夏野行く相合傘の白日傘
- 放牧の牛の動かぬ夏野かな
- 京都府 田端敏弘
- 満天を掛けて夏野に大の文字
- 集合に児の一斉に引く夏野
- 指笛や駆け出す生命追う夏野
- 東京都 石川昇
- 朽ちかけた牧舎を望む夏野かな
- 目に見えぬ生存競争夏野原
- 長野県 木原登
- 棒一本おのが武器とし夏野の子
- 三々五々牛を散らせる大青野
- 林立の雲をめぐらす夏野原
- 落日へオカリナを吹く夏野かな
- 夏野には夏野の掟されこうべ
- 埼玉県 岸保宏
- 喜寿間近夢膨らます夏野かな
- 学窓に留めて置きたき富士夏野
- 虫は皆青染まりたる夏野かな
- 東京都 安西信之
- 体力もいずれ底つく夏野かな
- 兵庫県 岸野孝彦
- 夏野から夏野へ走る風になる
- 黄昏の五百羅漢の夏野かな
- 様々な想いが駆ける夏野かな
- 桶持ちて夏野過ぎれば父母の墓
- 夏野にてこぼれる花の孤愁かな
- 東京都 勢田清
- 足もとの影道連れに夏野行く
- 何処までも影ひとつ無き夏野かな
- 黄なる花点々として夏野原
- 遠く来て夏野の果てや海の音
- 帽子とり風に吹かせる夏野かな
- 愛媛県 渡邊國夫
- 夏野原活断層の走りをり
- 夏野まで犬と散歩の日課かな
- ふる里の夏野に多き哀話悲話
- もののふの祠をちこち夏野かな
- 遠山も夏野も靄の中なりし
- 山口県 ひろ子
- トンネルをぬけて広がる夏野かな
- 点々と黄花の灯る夏野行く
- トンネルをぬけて夏野や無人駅
- 腰すえて夏野見渡す夕間暮れ
- 栃木県 長浜 良
- 夏野から夏野へ渡る丸木橋
- 故在りて夏野を想ふ人となり
- 草に寝て雲一片もなき夏野
- 山羊の背を撫でて夏野の人となる
- 千葉県 伊藤博康
- 落し物探せずにゐる夏野かな
- 抵抗は無駄なことなり大夏野
- 大夏野忘れたきこと数多なり
- 川岸の墓まで続く夏野かな
- 街が消へいつか夏野になつてゐる
- 神奈川県 佐藤博一
- 夏の野に何かを捜す刑事かな
- 夏の野に外野四人の草野球
- 見えていて声の届かぬ夏野かな
- 遠くより風見えて来る夏野かな
- 少年や夏野の匂ひ持ち帰る
- 栃木県 鹿沼 湖
- 木道の続く真昼の夏野かな
- 連山の空へ溶けゆく夏野かな
- ドローンの上へ上へと夏野かな
- 一すぢの道は空へと夏野かな
- 反芻の牛ゆつたりと夏野かな
- 千葉県 小泉芝雲
- 馬の背におっかな乗りて大夏野
- 大夏野に寝そべる牛の岩のごと
- 悩み一つ夏野の中に消えてゆく
- 大阿蘇の草千里なる夏野かな
- 大夏野に叫び声あぐムンクかな
- 北海道 竹浪誠也
- 隊列が崩れ夏野の花の中
- 顧みて夏野の渦に立ち止まる
- スナップの笑顔それぞれ大夏野
- 岩木嶺を浮かべ凪がるる夏野かな
- 宮城県 林田正光
- なにもなきただそこにある夏野かな
- 大夏野ドレミの歌の聞こえ来る
- 太陽を浴びた夏野や夕の風
- 神奈川県 白銀
- 荒野にも 雷雲が 夏野を駆ける
- 夏野の恋 真夏の光 一途な夢
- 風車が 夏野を飛んで とんぼ返りへ
- 空と雲 夏野のコンビ 天で回る
- 夏野の岸 川辺に浮かぶ 毬藻かな
- 東京都 内藤羊皐
- 飼ひ猫のなにやら咥へ夏野ゆく
- 犬乗せて夏野をゆける乳母車
- 人形の腕の落つる夏野かな
- 鶏の鶏冠耀ふ夏野かな
- 千人の指紋絡まる夏野かな
- 徳島県 白井百合子
- 山仕事帰る家路の夏野かな
- 夕暮れの足もとそよぐ夏野かな
- 富士山に一本道の夏野かな
- 竹林の抜けたる先に夏野かな
- 旅牧の日の出も赤く夏野かな
- 東京都 岩崎美範
- 母乗せて車椅子押す夏野かな
- 牛遊ぶ流刑の島の夏野かな
- 声あげて縄電車行く夏野かな
- グラマンの掃射のありし夏野かな
- 振り逃げに歓声あがる夏野かな
- 埼玉県 よしこ
- ハモニカの誘ふ風あり夕夏野
- 雑草も夏野似合ひし風そよぐ
- 三つ編みの少女駆けゆく夏野かな
- 大樹影大の字なりし夏野かな
- 分け入れば少し近道なる夏野
- 岡山県 岸野洋介
- 吾歩む夏野の果てに海光る
- 天国の妻は夏野の星となり
- ふと止まり山頂仰ぐ夏野かな
- 句境得て八十路の果ての夏野ゆく
- 月照らす大宰府跡という夏野
- 兵庫県 はなちる
- 夏野原振り出し戻る子等の声
- あばら家に蚊の飛び交う夏野かな
- 夜の闇夏野秘かにざわめくや
- 熱を喰ふ臍の中心夏野かな
- 大阪府 山岡和子
- リフト降り一歩に夏野はじまりぬ
- 小流れに指を浸せる夏野かな
- マッチ箱めくロッジあり大夏野
- 霧飛んで君を隠せる夏野かな
- 霧飛んで私も飛んでいる夏野
- 神奈川県 ぐ
- 雲の影くじらのやうにゆく夏野
- 駆け抜ける足捕まえし夏野かな
- 夏野からのののと雲の沸き上がる
- ドクターヘリ蹴散らす青き夏野かな
- 東京都 伊藤はな
- 雑草の名前を拾ふ夏野かな
- 点点と岩の白さや大夏野
- 花束を夏野に摘みし幼かな
- むんむんと湧き出る匂ひ大夏野
- 結婚の啓示を受けた大夏野
- 東京都 中田ちこう
- 魂と谺す夏野無言館
- 山口県 山縣敏夫
- どこかしらインスタ映えのする夏野
- 大夏野野球部員のランニング
- 広大な北の大地の夏野原
- これからも夢は続くよ大夏野
- 見渡せばどこまで続く夏野原
- 神奈川県 井手浩堂
- 遠山に白き雲浮く夏野かな
- 置物のごとく牛在る夏野かな
- 兵隊の匍匐訓練せし夏野
- 子とさがす紙飛行機や大夏野
- 鳥影の夏野を過ぐる速さかな
- 兵庫県 山地美智子
- 一行は健脚揃ひ大夏野
- 古すぎて読めぬ夏野の道標
- 土煙上がる夏野の一本道
- 故郷の誰にも会はぬ夏野かな
- 大夏野大極殿へ一本道
- 滋賀県 正庵
- 夏野ゆくサイクリングの五六人
- 絶えず人出入り夏野のレストラン
- 伊吹まで一本道の夏野かな
- 走る人寝る人歩く人夏野
- 白き石ひとつ夏野の古墳かな
- 神奈川県 矢神輝昭
- 夏野来て風に向かわん吾は舟
- 入り日影夏野の葉先尖りおり
- 秘密基地都市化に喰われああ夏野
- 夏野入る吾は黙して影重し
- 夏野には網と帽子と白い雲
- 神奈川県 河野肇
- 書道展窓より見ゆる夏野かな
- 石仏の顔暮れのこる夏野かな
- 昭和二十年徒手空拳の夏野かな
- 病む父の遠く見やりし夏野かな
- 天駈けて去りし機灯や夏野の夜
- 福岡県 紙田幻草
- それぞれの草競い立つ夏野かな
- 大阿蘇の夏野を走るバイクかな
- ツーリングバイク呑み込む大夏野
- もこもこと雲湧く空と大夏野
- 遠き日の自分に還る夏野かな
- 三重県 後藤允孝
- 天と地と人と風との大夏野
- 果てしなき宇宙ロマンや大夏野
- 夏野来て深き青空見てゐたり
- 立てば海見ゆる夏野の空の青
- ローカル線吾も連れゆく夏野かな
- 奈良県 平松洋子
- 窓に入る夏野の優し風と寝る
- 生駒山四方見渡す大夏野
- ただ一人なって夏野の気持良さ
- 神奈川県 塚本治彦
- 裸馬乗る少年の夏野かな
- 鈴の鳴る郵便馬車の夏野かな
- 牛陰に憩ふ牛飼夏野かな
- 風立ちて歩幅大きくなる夏野
- 測量の声呼び交はす夏野かな
- 愛知県 新美達夫
- 歩むより術無き道や大夏野
- 野仏の石に帰したる夏野かな
- 少年に夏野の果てのまだ見えず
- 埋もれし鎌倉往還夏野原
- 新潟県 加藤正子
- 吾子抱いて帰るふる里夏野かな
- 寝転んで頬張る飴玉夏野かな
- 墓前へと花束抱へゆく夏野
- 大阪府 椋本望生
- 夏野来て去年と同じ石の上
- ぽぽぽぽとぽぽぽぽとゆく大夏野
- 夏野ゆく後ろに声を掛け乍ら
- 見晴るかす水平線の夏野かな
- 夏野原ひよこと貌出すハクビシン
- 東京都 原井壮
- 野球帽ヌッと現はる夏野かな
- 切り株に腰をかけたる夏野かな
- 大の字の胸反り返る夏野かな
- 知床の夏野を鹿の駈け抜けり
- 若臭きいきれに咽び大夏野
- 奈良県 一人坊
- 行く先は夏野の雨に行く人や
- 母を追い泣く子と同じ夏野ゆく
- 会釈もせずすれ違う急く夏野かな
- 神奈川県 皆空眞而
- ひとすじの径を歩荷の夏野原
- 夏野尽き高度を稼ぐつづら折り
- 虫撮るや妻は夏野の遥か先
- ブラジル 西山ひろ子
- 故郷の匂ひの中や夏野かな
- 地平線へ見え隠れして夏野原
- 一世紀の歴史の眠る夏野かな
- 開拓の昔栄えし夏野かな
- 夢と消え移民の気概夏野かな
- 埼玉県 櫻井俊治
- 塩舐めの牛の涎や夏野原
- 老いの眼に牛追いかけし夏野かな
- 神奈川県 松風子
- 見渡せば秩父連山大夏野
- ざわざわと風の音する夏野かな
- ランニングパンツ姿の夏野原
- 風の樹々一花だになき夏野原
- 利根川の夏野の風のノスタルジア
- 大阪府 津田明美
- 草の声風の声聞く大夏野
- どこまでが山裾夏野どこまでも
- ハルカスや上町台地大夏野
- 富士裾野夏野に融けて新幹線
- 書写山へ夏野を渡すロープウェイ
- ブラジル 林とみ代
- 寝そべりて夏野見下ろす山の宿
- 腰弁当下げて夏野に吟行す
- 夏野原牛千頭の移動かな
- 茜色に夏野を染めて夕日落つ
- 競争馬の訓練してる夏野かな
- ブラジル 玉田千代美
- リュックサック背負ふ少女や夏野原
- 野良猫の子連れに会ひぬ夏野かな
- 夏野ゆく三山越ゆれば母の里
- 出会ひの場夏野と決めて急ぎけり
- 夏野行く風に押されて老の試歩
- 大阪府 永田
- 車椅子辞して夏野に君臨す
- 手庇の肘きよげなり大夏野
- 東京都 かつこ
- 車中から夏野なつのとラーメン屋
- 駅降りて夏野を歩き海辺まで
- 神奈川県 龍野ひろし
- 野生馬の群れ遊びたる夏野かな
- 寝ころびて雲眺めゐる夏野かな
- 木道の空まで続く夏野かな
- 岐阜県 ときめき人
- 信州の緑響けり夏野風
- 神奈川県 原川泉水
- 母仔馬木陰に寄り添う夏野かな
- 青天と夏野我が物グライダー
- 原爆痕夏野と紛う一写真
- 夏野行くワンダフォーゲル風が追う
- 湖を眺めて風恋う夏の原
- 神奈川県 伊原文夫
- 大夏野三内遺跡廻りけり
- 富山県 岡野満
- 夏野行く電車が照らす闇夜かな
- 徒歩にして芭蕉を辿る夏野かな
- 休日の人影増えて夏野かな
- 北海道 北野きのこ
- 園児らの歌う夏野や不発弾
- バス停と俺だけが知る大夏野
- トラックの砂塵消え行く夏野かな
- 夏野伸ぶ縦横そして空へ伸ぶ
- 終戦や死と死と死と死と大夏野
- 東京都 住澤義英
- 榛名山夏野の先に浅間あり
- 榛名湖を飲み込むような夏野かな
- 神奈川県 成田あつ子
- 犬放てばたちまち点の夏野かな
- 諸の手を翼に吾子は夏野ゆく
- グライダー影も飛び立つ夏野かな
- 振り向けば牛のつき来る夏野かな
- 空と分かつ一線青き夏野かな
- 大阪府 太田紀子
- 廃線の吸ひこまれゆく夏野かな
- 一両電車見え隠れする夏野原
- 放牧の牛点在する大夏野
- 岐阜県 凡句楽
- フリスビーを飛ばして犬と大夏野
- 遠景に富士眺望の夏野かな
- のつたりと牛くつろげる夏野かな
- パラグライダーつぎつぎ降りる大夏野
- 膝枕借りて微睡む夏野かな
- 愛媛県 加島一善
- 筑後川青野断ち切り滔々と
- 夏野割る戦車の列や富士へ富士へ
- 肩車されて見下ろす夏野かな
- 牧童の眠りこけたる夏野かな
- ちらほらと牛放たれて夏野かな
- 京都府 山野うさぎ
- 靴紐の結び目かたし大夏野
- 白龍のごとき雲ゆく夏野哉
- 夏野ゆく親子の馬よひかる尾よ
- 東京都 岩川容子
- 単線の夏野広がる無人駅
- 犬走る雨後の匂いの夏野かな
- 太陽がゆがんで沈む夏野かな
- 夏野行く長距離便はふるさとへ
- 埼玉県 守田修治
- 安政の地蔵を隠す夏野かな
- あるかなし夏野の風に脱ぐ帽子
- 握り飯夏野を転げ行きにけり
- 雲さえも一息入れる夏野かな
- 売りに出す牛連れ帰る夏野かな
- 大阪府 鈴木健夫
- 夏野には放り出されたドンゴロス
- 東京都 石井昌男
- スケツチや夏野に胡座ジャージ服
- 自転者の突つ切つて駅大夏野
- 病み付きのグランドゴルフ大夏野
- 千葉県 横井隆和
- ・天下り草薙ぐ大蛇や大夏野
- ・風さわぐ黍の夏野や黒うさぎ
- ・子を囲み夏野を雨の犬一座
- ・刈り取りのサイロに薫る青野かな
- 福岡県 西山勝男
- 日の匂ひ風の匂ひの夏野かな
- 放牧の牛てんてんと大夏野
- 大いなる阿蘇をそびらの夏野かな
- おちこちに嘶ゆ掛け合ふ夏野かな
- 目も遥に日の斑綾なす夏野かな
- 愛知県 斉藤浩美
- 夏野出て次の夏野へ自転車旅
- 大夏野リフトの足がふれてゆく
- 大夏野はるかに野外コンサート
- 終点も始発も夏野ひとり旅
- 測量士夏野かき分け出て来たる
- 滋賀県 村田紀子
- 夏野から飛ぶ鳥招く白い雲
- 口笛と犬の鳴き声夏野かな
- 鳥の声吸い込まれゆく夏野かな
- 草を抜く手止め見晴らす夏野原
- 夏野行く帽子二つと犬の影
- 埼玉県 哲庵
- 野良猫の見え隠れする夏野かな
- 夏野尽き灯台一基屹立す
- うりんぼの列成し進む夏野かな
- 盲導犬訓練したる夏野かな
- 砲術の訓練ありし夏野かな
- 東京都 遠山比々き
- ふるさとの山巡らせて夏野かな
- 夏野より出でて犬掻く耳の裏
- めくられし袖下ろされて夏野かな
- 子の坊主頭うかべて夏野かな
- 送電線ゆるりと渡る夏野かな
- 千葉県 入部和夫
- ひとすじの日射し眩しき夏野かな
- 千葉県 高倉真生
- 薬莢の一発足らぬ大夏野
- 山羊ともに夏野のひかり連れ帰る
- 鋭利なる空母の影を秘め夏野
- 東京都 右田俊郎
- 大夏野国境示す鉄条網
- 大夏野送電塔の聳えをり
- ひとり行く白杖の人大夏野
- 朽ちかけた夏野の道の道しるべ
- 夏野ゆく少女ふたりの弾む手話
- 神奈川県 三好康子
- 傘ひろぐその木何の木大夏野
- 卯月野にうごめくものや星の影
- 自然分娩の隠岐の放牧牛夏野
- 怒濤打つ隠岐の赤壁大夏野
- 卯月野のあまたの生命星一つ
- 福岡県 多事
- 億万頭入れて牛色夏野果つ
- 潮騒の馴染む夏野や御崎馬
- 暮れ行くに臭ひ尖れる夏野かな
- 旗一旒水玉そよぐ夏野の子
- 疲れ得ぬ吾子のものなり大夏野
- 宮城県 AQ
- ざりざりと命を削ってゆく夏野
- 夏の野の眩しのろまな虫五匹
- 千葉県 玉井 裕朗
- くるぶしに雨の香残る夏野かな
- 瀬音残し雨の立ち去る夏野かな
- 東京都 五十嵐 秀山
- 白馬村の夏野の里のジョギングに
- 駆け回る背にじりじりと夏野かな
- ケロリンの看板錆びて夏野かな
- 豊かさもひもじさも知る夏野かな
- 函館の夜をまなうらに大夏野
- 東京都 三澤 三郎
- 夏野にて牛悠々と草をはみ
- 半世紀過ぎ去り見れば夏野消え
- 夏野にて古戰場の夢思う
- 神奈川県 髙梨 裕
- 夏野原いにしえびとの草草鞋
- テラスなら夏野の風とコーヒーと
- 雲過ぎて旅の素泊り大夏野
- 暮れ行きて夏野一路に疲れあり
- 真中行く水脈遥か夏野原
- 京都府 中村 万年青
- 甲斐の空ぶどふの丘も夏野かな
- 生きている大地のそよぎ夏野かな
- 大夏野さがのは緑一色に