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- 俳句庵 2018年03月 優秀賞発表
- 俳句庵 2018年03月 作品一覧
俳句庵
3月『水温む』全応募作品
(敬称略)
- 千葉県 柊二
- 水温む浮麸を呑める太き鯉
- 宮城県 石川初子
- 完食の弁当箱や水温む
- 愛知県 岩田遊泉
- 園児等のカートは二連(にれん)水温む
- 魚さばく妻の指先水温む
- 釣り人の群るる突堤水温む
- 闘病の妻は寛解水温む
- 木曽馬の母は臨月水温む
- 愛知県 遊泉(ゆうせん)
- 臨月の木曽馬の腹水温む
- 富山県 白川 千栄
- やわらかき生きもの動き水温む
- 水温む田んぼの畦の芹のびる
- うらの田の水温むころ夫癒えよ
- 気がつけば水温むかな皿すすぐ
- 日の過ぎて水温むがに話し掛く
- 福岡県 紙田幻草
- ぽっかりと何かが浮かび水温む
- 対岸に甲羅干す亀水温む
- 水温む淵に動ける鯉の影
- 浮島に生気が戻り水温む
- 平凡の外に才なく水温む
- 新潟県 近藤博
- 水温みはやも水草芽吹き初む
- 水温み浮草ひたひた風に揺れ
- ちょぼちょぼと流るる水も温みけり
- 水温み雑魚あぎとふやぱくぱくと
- 水温み釣り人のどかに浮子見詰め
- 愛媛県 渡邊國夫
- 大楠の齢千年水温む
- 四方の山映して湖の温みけり
- 大江戸に触るるデートや水温む
- 水温む野に出て聴こうシュトラウス
- 石投げに母と興ぜし川温む
- 岐阜県 金子加行
- 久々に逢いたき人や水温む
- 心地よく顔と手洗い水温む
- 山村に人の動きて水温む
- 城下町匂ひ戻りて水温む
- 吊橋に異国人揺れ水温む
- 大阪府 金成愛
- 水ぬるむコップが落ちたから割れた
- 水温むじいちゃんばあちゃんわかいわい
- 神奈川県 白銀
- 寒波の日 樹氷が舞う 水温む
- 水温む 夏日和なり 小春日で
- 古井戸の せつない空気 水温む
- 西方角 起点回せば 水温む
- 水温む 飛び石の怪 苔ももに
- 兵庫県 紫 桔梗
- 水温む水切り競ふ親子かな
- 手術痕だんだん薄れ水温む
- 餌競ふ鯉の大口水温む
- 水温む圃場整備の始まりぬ
- 水温む水車の回る道の駅
- 神奈川県 長田真紀
- 水温み岩から伸びる亀の首
- 水温み羽根整える白い鳥
- スイスイと鳥一列に水温む
- 水温み水車の音も軽くなる
- 水温むちょっとお茶でもしましょうか
- 埼玉県 岸保宏
- 秩父路に遍路の杖や水温む
- 水温み後を押したる受験子や
- 水温む水玉模様ブラウスや
- 長野県 木原登
- 青き地球に住める倖せ水温む
- 機嫌よき雲を浮かべて水温む
- こころの武装解くごと水の温みけり
- 魚偏に国字の多し水温む
- さざなみは湖の鼓動や水温む
- 京都府 田端敏弘
- 水温む不自由な脚で廻る畔
- 工作を提げて道草水温む
- 水温むオールを止めて告げる事
- 水温む泥に小さき泡の粒
- 水温む母の残した旬のつぼ
- 東京都 石川昇
- 水温み鰭よく動く緋鯉かな
- 復興の未完のままに水温む
- 東京都 内藤羊皐
- 狂言は狐忠信水温む
- 水温む吃水線を滑らせり
- 先頭の木馬尿りて水温む
- 水温む玻璃の花瓶の六角形
- 水温む吉祥天の裳裾かな
- ブラジル 林とみ代
- 水温む厨仕事も軽やかに
- こだはりの失せて安堵や水温む
- 乳母車集ふ公園水温む
- 水温む頃の予定や船の旅
- 水温む恋の噂もちらほらと
- 神奈川県 佐藤博一
- 水底に魚影きらりと水温む
- 高瀬川まくらの下の水温む
- 手を打てば鯉の寄り来て水温む
- 菜を洗ふ妻のハミング水温む
- 故郷は井戸ある暮らし水温む
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 雨が降る 花びら落ちて 水温む
- 風呂の蓋 閉めずに放置 水温む
- 水温む 海つめたくて あたたかい
- 春なれば お酒ぬるめの 燗でいい
- 水温む 沖縄告げる 春濁り
- 東京都 伊藤はな
- 街道の川の渡しや水温む
- 野の猫の舐めて行きたる水温む
- ゆるやかに母の繰り言水温む
- 多摩川の寂の流れ水温む
- 水温む午後の散歩に車椅子
- 千葉県 伊藤博康
- 水温み子どもの服は泥だらけ
- 水温み泥んこ遊び始まりぬ
- 下流から水の温みの遡り
- 水温む長靴に泥付きにけり
- 陽の射して硯の水の温みけり
- 神奈川県 川島欣也
- 舟端をたたく小波水温む
- 船頭の鼻唄軽ろし水温む
- 朝まだき俎板の音水温む
- 水温む亀の親子の甲羅干し
- 擦る墨の輝く池や水温む
- 神奈川県 片桐栞志
- 水温みどつこらしょつと腰浮かす
- 水温みいつもの場所へ出社する
- 駅弁に入りし青菜や水温む
- 水温みのろりのろりの水面かな
- 米を研ぐ厨の朝日水温む
- 東京都 千味幸太郎
- 歯磨きの香りほのかに水温む
- 河馬の尾のピクリと動き水温む
- ゆっくりと沈む雑巾水温む
- 朽ち果てし放置ボートや水温む
- 水仕終え触れる妻の手水温む
- 長野県 横山一成
- 田の畔の土黒々と水温む
- なにはともあれ峡の水温む
- 草むらに少年の靴水温む
- 老婆たち見つめる川の水温む
- 水温み瀬に戻りたる魚の影
- 東京都 岩崎美範
- 被災地に戻る笑顔や水温む
- シャンシャンの膝かつくんと水温む
- 水温むまつたり流る木の葉舟
- 求愛の河馬の欠伸や水温む
- 水温むいつもながらのことなれど
- 兵庫県 はなちる
- 鍵盤の熱き指先水温む
- 水温む胎児でっぷり居座るや
- 水温む君の肩越し逝く風や
- 水温むモデルの如く闊歩する
- 初登山リュックも軽し水温む
- 埼玉県 飯塚璋
- 水温む鯉の口元丸く開く
- 埼玉県 よしこ
- 水温む汽笛の一つ秩父線
- 水温む厨の窓辺砂時計
- 流木の溜まる渡し場水温む
- 水温む青春切符二枚買ふ
- 苔むすや瀬音かそけし温む水
- 兵庫県 山地美智子
- 池の端で休む散策水温む
- 農業は国の礎水温む
- 水温む新幹線の見ゆる郷
- 旧友と歩く故郷水温む
- 水温む田毎に違ふ畝の向き
- 東京都 早川高典
- 髪ゆだね美容師に恋みずぬるむ
- 神奈川県 原川泉水
- 水温む川辺の草踏み子等が行く
- 若狭井の水も温むや東大寺
- 水温む池面さわがし鯉の群
- 水温み淵の蛟龍天睨む
- おたいまつ消えて若狭の水温む
- 神奈川県 井手浩堂
- 船頭と交す一ゑ水温む
- 洗ひ場の石のつややか水温む
- とも綱の張りて滴る水温む
- すつぽんの潜める池や水温む
- 朝な夕な米研ぐ水も温みけり
- 神奈川県 長瀬正之
- 半ズボンにても濡らす児水温む
- 水温む水車のグリス注ぎ足しぬ
- 水温む水切り石の5段跳び
- 腰落とす生業忙し水温む
- 水温むハンドクリーム棚の奥
- 兵庫県 岸野孝彦
- 水温む鎌倉歩み銭洗う
- プラモデル不沈大和に水温む
- 翠なる堀は光て水温む
- 水温む還暦過ぎの孤児となる
- 水温む待ち続けた日今日も来ず
- 三重県 後藤允孝
- 豆腐屋の仕込みの水も温みけり
- あやす子の頬柔らかや水温む
- 指先の痺れもとれて水温む
- 水温む遠回りして帰ろうか
- 銭洗ふ弁財天の水温む
- 大阪府 森村富美
- 池の端洩れる来るひかり水温む
- 青沼に波紋のひとつ水温む
- 漉きげたの和紙やわらかく水温む
- 栃木県 長浜 良
- 分校に女先生水温む
- 分校の自然観察水温む
- 婚の日の近き先生水温む
- 水温むついと一尾の魚影
- 神奈川県 塚本治彦
- 水温む漕ぎて進まぬ盥舟
- 厨房の賄飯や水温む
- フラスコを洗ふ教師や水温む
- 蒲鉾の塗り包丁や水温む
- 使ひ減りしたる俎水温む
- 奈良県 一人坊
- 水温みめげる気払い発つ遍路
- 歩数計五千歩毎に水温む
- 水温む帰路射す陽光夜勤明け
- 大阪府 椋本望生
- 水温む家のパンダは肩の上
- 薬食ぶ七十の気骨水温む
- 老残のコヨーテ急げ水温む
- 黄泉を向く吃水線や水温む
- 白鷲のスローモーション水温む
- 東京都 五島洸
- 水温む青き地球を宇宙より
- 墨を磨る水も温みぬ遺言書く
- 白雲の触れゆく水のぬるむかな
- 画板抱え繰り出す子等に水温む
- 水温むコップに入れ歯哄笑す
- 奈良県 平松 洋子
- 縮こもる山野もいよよ水温む
- 夫婦仲時に気配り水温む
- 優先席座ること慣れ水温む
- 茨城県 山県太
- 弁財天琵琶抱きついて給い水温む
- あそぶ子の声の明るさ水温む
- 出逢いしは古里の水温む頃
- 山なみは朝のむらさき水温む
- 水温む岩間を走る魚の影
- 神奈川県 猪狩千次郎
- いまはなき塔への野道水温む
- 水温む雀どうしが喧嘩して
- 硯石の池渇きたり水温む
- 大阪府 藤田康子
- 静まりし泥土の池も水温むけど
- 南よりふふふふふふと水温む
- 大阪府 津田明美
- 水温む山ふところに聞く読経
- 三川の平野くまなし水温む
- 小康の検査結果や水温む
- 古都水都豊かに下り水温む
- 山寺に小さき手水舎水温む
- 神奈川県 梶満理子
- 雨のあと街路樹映す水温む
- 水温む小石投げあう子らの声
- キラキラと水面が揺れる水温む
- 公園に子ら来て遊ぶ水温む
- 水温む時を忘れて話し込む
- 三重県 西井治男
- 水温み陣取り合戦たけなわに
- 水温む大陸からの送りもの
- 新潟県 じゃすみん
- 水温む小中学校統合す
- 北国の風船一揆水温む
- 地下鉄へ曳く旅鞄水温む
- 旅に巻く赤いバンダナ水温む
- 転院の介護タクシー水温む
- 神奈川県 矢神輝昭
- 水温む水かけ不動相崩し
- 懺悔して解るる情け水温む
- 水温むとぎ汁鉢へ注ぎおり
- 水温む豆腐の角もまろくなり
- 孫抱きて父の一徹水温む
- 埼玉県 哲庵
- 堀端の思い出ベンチ水温む
- 捨舟に番の家鴨水温む
- 鎌倉の十井巡り水温む
- 軋みつつ開く閘門水温む
- 唯足るを知る蹲や水温む
- 神奈川県 河野肇
- 八十年泳ぎおよぎて水温む
- 黒光る書道部の床水温む
- 図書館の守衛の笑みや水温む
- 人生といふフラダンス水温む
- 乳癌と告げられてあり水温む
- 神奈川県 守安雄介
- ビル谷戸の電動瀑布水温む
- 水温む恋の溜息吐きし鯉
- 水温むスカイツリーの影ゆるむ
- 水温む亀の頭の反りかえる
- 水温む孫の水切り十を超す
- ブラジル 玉田千代美
- 水温む心もゆるみ忘れがち
- 水温む苦労した日も今は過去
- 神秘なる底抜け池も水温む
- 神奈川県 鴨野箸
- 顔すすぐ回数増えて水温む
- 水温む八方塞ぎ良くなれと
- 埼玉県 櫻井俊治
- せせらぎに青菜濯ぐや水温む
- 水温む太き二の腕樽洗ふ
- 宮城県 林田正光
- 太鼓橋草履の響き水温む
- 水温む水面の子虫水尾つくる
- 穏やかな朝の洗顔水温む
- 故里の小川笑ひて水温む
- 水温むスキップの幅拡がりぬ
- 岡山県 岸野洋介
- 小流れをまたぐ飛び石水温む
- 包丁を研ぐ指先や水温む
- 堀巡りあやつる水棹水温む
- この町は二度目の旅居水温む
- 妻の忌の来ればせせらぎ水温む
- 東京都 右田俊郎
- 待ち侘びた報せ届きて水温む
- 水温む細胞検査結果白
- 釣り堀に常連の顔水温む
- 主治医より退院の許可水温む
- 水温むひたすら浮きを見つめをり
- 大分県 輝久
- 近道に兄と小川や水温む
- 水切りの童や独り水温む
- 水温む庭で一振り考の竿
- 石臼の布袋やくるり水温む
- 石橋を仰ぐ素描や水温む
- 神奈川県 月野木潤子
- 舫ひ舟触れ合ふ岸や水温む
- 水温む頃なり郡上忙しかろ
- 夫逝きしころなり水の温むころ
- 水温む影といふ影抱きつつ
- 春水や動き初めたる散居村
- 山口県 ひろ子
- 菜園の水やりやさし水温む
- 水温む名水運ぶ車列かな
- 放課後の子ら声からし水温む
- 福岡県 西山勝男
- 水温む鳳凰堂を影と添ひ
- 水温む賀茂の河原に人の影
- 小流れの音も清かに水温む
- 水温む筧の流れよどみなし
- 水温む阿蘇の源流とこしなへ
- 山口県 山縣敏夫
- 校庭に子等の呼び声水温む
- 愛犬と朝の散策水温む
- 賑やかな子等の登校水温む
- 華やかな五輪を終えて水温む
- 久し振り妻とドライブ水温む
- 東京都 勢田清
- 水温む浅瀬に魚の影多し
- 足裏に貝の感触水温む
- 山際の浅瀬早くも水温む
- 川底の砂踏む素足水温む
- 対岸に濯ぐ人在り水温む
- 富山県 岡野満
- 水温む気の向くままに理髪店
- スキップの園児の声や水温む
- 水温む門出の準備急ぎけり
- 神奈川県 ぐ
- 万物の輪郭ゆるむ水温む
- 産声のまろき牛舎や水温む
- 水温めば我が腸の旨味増す
- 春月を夜毎みたして水温む
- 粘性の圧力まとひ水温む
- 東京都 紫温
- 水温む ファールボールを 素手で捕る
- 水温む 終日(ひねもす)猫は 毛繕う
- グローブの 柔らかくなり 水温む
- 東京都 温笑
- 水温む 饒舌なりて 猫日和
- 猫のあと 追って日当たり 水温む
- 水温む 洗濯屋さんへ 足繁く
- 東京都 球温
- 合格の 報せ手水の 水温む
- オープン戦 球音高く 水温む
- 水温む 猫も気にする 花粉症
- ブラジル 広田ユキ
- 水温むモネのアトリエ訪ひし日も
- 水温む釣り人一人また一人
- 青空を映して池の水温む
- 水温むつと折り返す稚魚の列
- 水温む放流稚魚のよく育ち
- 愛知県 斉藤浩美
- キッチンより鼻唄洩れて水温む
- 水温む袖まくり上ぐ割烹着
- 板長の鼻唄水は温みたる
- 水温む金子兜太てふ光りかな
- 部室には部室の匂ひ水温む
- 北海道 飯沼勇一
- 亀甲羅干す大石や水温む
- 脱藩の道の手水舍水温む
- 腰伸ばす農夫の影濃し水温む
- 釧路川下りの舟や水温む
- 湖の端子らの歓声水温む
- 東京都 豊宣光
- 皿洗ふ妻の白き手水温む
- 水温む故郷の川変はりなし
- 水温む亀が首出す寺の池
- さまざまな別れの時や水温む
- 海望み走る江ノ電水温む
- 三重県 平谷富之
- 水温む川面の魚も元気よく
- 食器洗ふ介護士の笑み水温む
- 東京都 中田ちこう
- 進路きめ汲む閼伽水の水ぬるむ
- 神奈川県 龍野ひろし
- 縦横に巡るクリーク水温む
- 掘割に土蔵の影や水温む
- 水郷の堀に洗ひ場水温む
- 福岡県 多事
- 練りわさび利き落ちにけり水温む
- 水温む夫の部屋の荷いかがせむ
- 老鷺のミリも動かず水温む
- トーストのかなり跳ねたり水温む
- ガサガサにクラムボンゐた水ヌルム
- 神奈川県 伊原文夫
- 水温む陽だまりの先街光る
- 愛犬のリード緩めて水温む
- 鯉ゆるり口を開けたり水温む
- 神奈川県 三好康子
- 同郷の歯科医の池や水温む
- 現れて消ゆ気泡の吐息水温む
- 雲映し風をうつして水温む
- 水温む岸辺に亀の甲羅干し
- 閼伽桶を洗う手やさし水温む
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 新任の小隊長や水温む
- 水温むバリウムごくと飲めませぬ
- 半襟は淡き桃色水温む
- 沈下橋くぐる川船水温む
- 母と子の追いかけっこや水温む
- 埼玉県 守田修治
- 水温む京への車窓放浪記
- 台所盗酒旨し水温む
- 水温む灯は釣の宿だろう
- 水温むアナウンサーうれしげに
- 展望台眺るはるか水温む
- 神奈川県 永井良和
- 浚はれて池は黙せり水温む
- 池の辺に七つの花壇水温む
- 水温むせせらぎ蒼く光りけり
- 水温む池を追はれし外来種
- 水温むセットし直す万歩計
- 神奈川県 秋風子
- 道のべの匂ひの渚水温む
- ゆるやかに空ゆく雲や水温む
- 水温むゆっくりわたる太鼓橋
- 裏路地の井戸端会議水温む
- 球体に蒼き静脈水温む
- 北海道 北野きのこ
- 水温む足裏そして足首へ
- 水温む別居の父と鴨川へ
- 水温む別居の父を待つ妊婦
- 水温む鳥のとぷんと潜りけり
- 水温む墓前にあそこの銅鑼焼きを
- 神奈川県 海野優
- 水温む九に八を掛け四を足して
- こんこんと狐の嫁入り水温む
- 東京都 岩川容子
- 水温む池の静寂やぶる鯉
- 朝市の生みたて卵水温む
- 水温む笑みやわらかき伎芸天
- 水温む痺れやわらぐ指の先
- 東京都 皆川里枝
- 水温むすこうし鯉の動きたり
- つくばいの映す青空水温む
- 水温む母の得意ないなり寿司
- 水温むラ音の広がる水琴窟
- 水温む洗濯物のゆるむ音
- 滋賀県 村田紀子
- 水温み時間忘れて立ち話
- 猫の目に誘われ歩む水温む
- 話し声穏やかとなり水温む
- 二重跳び出来たできたと水温む
- 水温む握手する手に夕日射す
- 千葉県 横井隆和
- ・水温む框に素足の退院日
- ・しなやかに豆腐断つ手や水温む
- 愛媛県 加島一善
- 母の忌に洗う墓石や水温む
- どんこ船漕ぎ出す堀や水温む
- 泡ひとつ遅れてよっつ水温む
- 御手洗池泡出づ頃や水温む
- 少女笑むルノワールの絵水温む
- 東京都 住澤義英
- 泳跡にカモが顔出し水温む
- 水温む葦刈跡のエサ探し
- 陽だまりに地蔵の如く水温む
- 水温む孤高の鳩の声ひとつ
- 水温むスピード緩めランニング
- 東京都 遠山比々き
- 紙パンツ破りて重し水ぬるむ
- 神奈川県 成田あつ子
- 水輪なき雨の芦ノ湖水温む
- 池の面の雲動かずや水温む
- 銀輪と乗り込む渡し水温む
- 水温む赤き長靴放りだし
- 水温む湧水に砂躍りけり
- 埼玉県 小玉拙郎
- 老い猫の先に気づくや水ぬるむ
- 水ぬるむ荷物の軽き南旅
- ハイボールますます薄く水ぬるむ
- 神奈川県 石川 夏山
- 水温む草がぽよぽよ湧き出でる
- 水温む土手を散歩の車椅子
- 公園に子どもがどっと水温む
- 水温むブランコを漕ぐ高く漕ぐ
- 愛知県 新美達夫
- 杭に乗る鵜の横並び水温む
- 水温む幅一間のお殿橋
- 水温む六万石の小京都
- 茶袴の大正ロマン水温む
- 神奈川県 皆空眞而
- せせらぎに玩具の水車水温む
- 鷺の腹濡らして水の温みけり
- 釣糸をひとすじ沈め水温む
- 兵庫県 ぐずみ
- 墨壺の弾ける香や水温む
- 猫顔を洗ふ小川や水温む
- ナウマン象眠れる湖や水温む
- マリンスノー降る黒潮や水温む
- 着衣せしアダムとイヴや水温む
- 岐阜県 村瀬佐智子
- 水温むベーコンエッグとビバルディ
- 一斉に飛び立つすずめ水温む
- スケボーの若者の声水温む
- 水温みわだかりまでも解けてゆく
- 水温む散歩の道ののびてゆく
- 京都府 新井ゆかり
- 許せると気付いた時から水温む
- 東京都 内山岱鵬
- 水温み渡り廊下を行く裸足
- 手水鉢宇宙(そら)を映して水温む
- 水彩画ゆらりと緋鯉水温む
- 運動靴買いに孫連れ水温む
- 湧き水のコップ凹みて水温む
- 千葉県 下総真里
- 地下足袋の副園長や水温む
- 水温む靴の踵を張替えて
- 東京都 松下 早苗
- 石段に少年三人水温む
- 水温む寄り道多き散歩犬
- 水温む亀は首伸べ外気浴
- 東京都 飯田 哲司
- 水温む野辺で草摘む祖母と孫
- 水温む水もをすべるつがい鳥
- 近き国水温むのはいつの日か
- 神奈川県 髙梨 裕
- 水温む掘り割り渡るトラクター
- 水温む真中じわつと外来種
- 水温む郡上八幡鯉の径
- 水温み生き長らえし微生物
- 水温む地球どこかで揺れており
- 京都府 中村万年青
- 水温み樽の金魚も楽しそう
- 朝夕の水仕捗り水温む
- 待ち侘びし水道水の温みたり