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- 俳句庵 2017年12月 作品一覧
俳句庵
12月『寒灯』全応募作品
(敬称略)
- 愛知県 遊泉(ゆうせん)
- 寒灯に「砂の器」の下巻かな
- 人影や無人駅舎の冬ともし
- 冬の燈のいよいよ寂しダムサイト
- 消さで聴く寒灯の下(もと)ノクターン
- 寒灯の赤色回すガードマン
- 静岡県 金子加行
- 寒灯下今日の仕事に積みし辞書
- 寒灯の消えれば点きて寝ずの首都
- この村に生終へし友寒灯
- 薄暗き寒灯なれば旨き酒
- 的中の目薬涼し寒灯下
- 大阪府 藤田康子
- 寒灯や遠路を帰る夫のため
- 寒灯や山あいに寄せ合ふやうに
- 東京都 石川昇
- 寒灯のぽつりぽつりと過疎の村
- 思い出の多くは昭和冬灯
- 千葉県 柊二
- 黒き波へ石油精製の寒灯
- 京都府 田端敏弘
- お馴染みを湯気の迎える寒灯り
- 白い物連れてご帰還寒灯
- 寒灯の内の一つで待つスープ
- 新潟県 近藤博
- 小夜更けば街灯ひえびえ冬ともし
- 酔いしれて家路の街々冬ともし
- 終電や降る人まばら寒灯下
- 寒灯も心温まる灯の明り
- 寒灯やかたへに妻ゐて温温し
- 埼玉県 飯塚璋
- 寒灯下離島へ馳する巡視船
- 山口県 ひろ子
- 川沿いの寒灯を落とす水面かな
- 工事場の寒夜点滅信号機
- 千葉県 野木編
- 竿灯下コインランドリー客一人
- 竿灯に馬頭観音浮かびゐて
- 竿灯の届かぬところ影二つ
- 竿灯やコンビニに寄る塾帰り
- 老犬の息潜め待つ竿灯下
- 愛媛県 向井桐華
- 寒灯や亡き友の句を諳ずる
- 寒灯や閉鎖決まりし診療所
- 神奈川県 守安雄介
- 寒灯の瞬きもせぬ岬かな
- 荒波に寒灯沈む船出かな
- 寒灯や受験峠を無事に越ゆ
- 寒灯の所々を断つ飛沫
- 寒灯の波に向かいて突き進む
- 兵庫県 紫 桔梗
- 牛小屋の裸電球寒灯
- 追伸に滲む親しさ寒灯
- 寒灯下久々に聴くクラシック
- 誰も居ぬ無人駅舎の寒灯
- 寒灯を消して画廊の店仕舞ひ
- USA -(鈴木良子)
- 寒灯に 整理が整理 呼ぶ机上
- 寒灯下 本読む夫婦 影も老い
- 冬の灯や コンピュウタ夫 背を丸く
- どの国も 政権交代 寒燈か
- 平成も わずかとなりし 冬灯
- 東京都 勢田清
- 寒灯や母屋は既に寝静まり
- 寒灯に夜の往診頼みけり
- 寒灯下試験準備は未だ済まず
- 寒灯や見知らぬ街の裏通り
- 寒灯の旅館小さき駅の裏
- 宮城県 石川初子
- 寒灯や残業の子を待ちており
- 神奈川県 佐藤博一
- 相槌も言葉の一つ寒灯
- 食卓は妻の文机かんともし
- 一つずつ消して一つを寒灯
- 囲敵を待ち構えいる寒灯
- 寒灯やそこに幸せある如く
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 雪降って 消える灯火 マッチ売り
- 寒灯や 路面もギャグも 凍る町
- 天然の スケートリンク 冬灯
- 寒灯や ダイヤも凍る 大都会
- 冬灯 マッチ一本 火事の元
- 愛媛県 渡邊國夫
- うまさうな匂ひ露店に冬ともし
- 説法に集ふ若人寒燈下
- ぽつんぽつんと冬ともし山峡に
- ユーモアのあふるる法話寒燈下
- 客のあるらし座敷に冬の灯火かな
- 兵庫県 岸野孝彦
- 寒灯や家族を想う命の火
- 寒灯や両手かざせばほの温し
- 寒灯や想い人住む里辺り
- 寒灯や窓に流れる北帰行
- 寒灯やデジャブのごとき蒼き日々
- 宮城県 林田正光
- 寒灯の旅館一軒過疎の村
- 寒灯や蛍雪時代回想す
- 訳ありて寒灯頼る墓参かな
- 寒灯に群がる虫の息遣い
- 寒灯下連絡先のメモを取る
- 山梨県 天野昭正
- 寝る為の小さき家なり冬ともし
- 妻が買ふ老眼鏡や寒燈下
- 寒燈を消せば窓より星あかり
- 猪の解体始まる寒燈下
- 煌々と駅前ビルは冬ともし
- 愛知県 西谷寿
- 寒灯の消え入る光家急ぐ
- 寒灯を見ながら背筋丸くする
- 寒灯を見て家路へと急ぐ足
- 寒灯に誘われ酒を飲みに行く
- 寒灯がゆらゆら誘う深夜かな
- 長野県 木原登
- 寒灯や三面六臂阿修羅像
- 寒灯を運河に映す小樽かな
- 寒灯の終夜またたく無人駅
- 叱られて影踏み帰る寒灯下
- 寒き灯に学べる吾子を思ふのみ
- 東京都 内藤羊皐
- 駄菓子屋の玻璃戸の翳や寒灯
- 子殺しの絵馬も売ります寒灯
- 寒灯や夜を継ぎたる葬祭場
- 洪水の碑翳る寒灯下
- 寒灯川の滾りに揺れにけり
- 東京都 佐藤博重
- 故郷に待つ人あらず寒灯
- 寒灯や遺影は凛と引き締まり
- 寒灯下遺影の父の鋭き視線
- 千葉県 伊藤博康
- 寒灯帰り辛きは我が家なり
- 寒灯父の帰りを待ちにけり
- 藁を打つ音たんたんと冬灯
- 寒灯や夢中で読みしミステリイ
- 読みかけの本ばかりなり冬灯
- 神奈川県 森山茂
- 寒灯や根元に何か落ちたまま
- 東京都 白木幹二
- 寒灯下迎える妻の影絵浮く
- 寒灯下道着に湯気たて童子過ぐ
- ブラックな職場戸を締め冬灯
- 神奈川県 梶満理子
- 寒灯のともりしころに仕事行く
- 寒灯や内職の母背を照らす
- 寒灯下家族揃って鍋囲む
- 夜も更けて消えぬ寒灯受験生
- 集金の父母待ち一人寒灯下
- 兵庫県 はなちる
- 故郷は初雪の花寒灯下
- 寒灯下目を凝らし読む説明書
- 寒灯下眠気を誘うテスト前
- 寒灯の点滅したる夜の道
- 寒灯や孤食に慣れし夕餉かな
- 神奈川県 原川泉水
- 寒灯に魅せられ屋台熱い蕎麦
- 寒灯や雪路にしみる鐘清し
- 寒灯や川面に映えて鱗なす
- 寒灯を抱える大樹鬼子母神
- 寒灯や池面の星雲かき乱し
- 東京都 伊藤はな
- 冬灯空しらじらと明け初むる
- 針穴へ糸まさぐりて冬灯
- 寒灯の消ゆる闇夜や母の声
- 寒灯に鼓動確かむ寝息かな
- 寒灯の影揺れ母を偲びけり
- 神奈川県 矢神輝昭
- 寒灯のモールス信号無人駅
- 祖母の家寒灯頼りのくねる道
- 寒灯や耽る思いの拠り所
- 深夜便寒灯いくつ郷里まで
- 寒灯にぽつり懺悔のひとり酒
- 神奈川県 井手浩堂
- 寒灯の朝まで点る道普請
- 寒灯下牛の出産はじまりぬ
- 一つづつ点る寒灯観覧車
- 東京都 五島洸
- 寒灯の大俎板に水流す
- 寒灯のもと自分史を書き継ぎぬ
- 寒灯下志功疾風のごとく彫る
- 「占い」と書きし寒灯かたわらに
- 帰り来て寒灯のわが小宇宙
- 滋賀県 東野了
- 寒灯の消えて星空残りけり
- 寒灯を昼もともして無人駅
- 寒灯の明滅したる常夜灯
- 寒灯に寄り添ふごとく六地蔵
- 寒灯の真下活断層走る
- 東京都 岩崎美範
- 麺すする単身赴任の寒灯下
- どの窓も幸せ色や冬灯
- 父かへり温もり始む寒灯下
- 妣よりの文読み返す寒灯下
- 喜びも悲しみもあり寒灯下
- 埼玉県 よしこ
- 寒灯の星に紛れる川堤
- 寒灯や掠るる行のインク文字
- 誤字見つけ慌てふためく寒灯
- 夕暮れに三つ四つと寒灯
- 寒灯に駅員ひとり座りゐる
- 長野県 横山一成
- 沈黙は金となりたり寒灯に
- 半世紀溶け合うふごとく寒灯下
- 寒灯や去り急ぐものばかりなり
- 寒灯の闇の欠片を砕きけり
- 猫が猫温めている寒灯下
- 兵庫県 山地美智子
- 一つづつ消ゆる寒灯奈良盆地
- 寒灯や帰る人みな前かがみ
- 病棟の寒灯一つ灯りをり
- 寒灯や独りとなりし姉を訪ふ
- 寒灯や人通りなき屋敷町
- 静岡県 池ヶ谷章吾
- 寒燈の一つはこの世我が家かな
- 冬燈し湯気の溢るる夕餉かな
- 寒燈下妻の他には猫もいて
- 寒燈に案内されて千鳥足
- 勝ち力士汗の光るや寒燈下
- 三重県 後藤允孝
- 本堂の四隅に暗き冬灯
- 寒灯下ペン先鈍る原稿紙
- 寒灯刃物研ぐ手のもどかしさ
- 寒灯や子供を叱る親の顔
- 寒灯かすかに笑ふ犬の顔
- 愛媛県 加島一善
- 冬の灯やぽつりぽつりと広がりぬ
- 山小屋に寒灯ひとつ吊るす猛者
- 寒灯やひとつふたつと点いてゆく
- 寒灯や障子に子らの影映す
- 爆心の川に映るや冬灯
- 山口県 山縣敏夫
- 独り者肩を寄せ合う寒灯下
- 寒灯下今宵独りの手酌酒
- 寒灯下寂しくないと肩を張り
- 絶望の気配漂う冬灯し
- 愛犬に家路を急かす冬灯し
- 神奈川県 猪狩千次郎
- 寒燈下翅持つ虫の浮け歩み
- 寒燈のだいだい色を胸に秘む
- 天に星古寺寒燈の揺るがざる
- 闇を払ふ寒燈ひとつ吾ひとり
- 寒燈や勝鬨橋の静寂闇
- 神奈川県 川島欣也
- 冬灯取ってを走る静電気
- 冬ともし変わらぬ拉致の浜闇し
- 被災地の暗き寒灯三っ四つ
- 寒灯下改札終える終電車
- 寒灯に浮ぶ神橋大谷川
- 東京都 右田俊郎
- ふるさとの過疎化は進む寒灯
- 寒灯やローカル線の無人駅
- 寒灯や小樽運河をゆく小舟
- 寒灯のひとつ灯りてまたともる
- 夕暮れの寒灯ゆるる魚市場
- 岐阜県 ときめき人
- 光あるルオー聖顔寒灯下
- 三重県 西井治男
- 夕焼けに人影長く冬灯
- 寒灯日暖簾をくぐりまず一杯
- 大阪府 津田明美
- 寒灯下街のはずれの掲示板
- 寒灯の一つ紛れて星の宿
- 湯殿まで渡り廊下の寒灯し
- 露天湯や沖より暮れて冬灯
- 密やかに寒灯揺れて家族葬
- 東京都 豊宣光
- 寒灯や未来の暗きこの国に
- 帰宅して寒灯ともす独り者
- 寒灯に浮き上がりたる金閣寺
- 寒灯下徹夜で励む受験生
- 寒灯の貧しき光過疎の村
- 神奈川県 龍野ひろし
- 冬ともし牙の鋭き天燈鬼
- 観音の影おごそかや寒燈下
- 神奈川県 塚本治彦
- 寒灯下溲瓶を洗ふ外厠
- 寒灯や土器修復の学芸員
- 寒灯や弥陀の半身照らされて
- 寒灯や繰り返し読む母の文
- 背表紙を照らす寒灯古本屋
- 静岡県 雷魚
- 寒灯に ふわふわ布団 御浄土かな
- 寒灯に 名も知らぬ犬 ようこそ
- 寒灯に 伏せて動かず 盲導犬
- 寒灯に ビールの泡 大喝采
- 寒灯に 井戸水くむや 茶の庵
- 神奈川県 河野肇
- 三日月のふと舞い降りて冬灯
- 屋根やねにしみ入る雨や冬灯
- さざめける甲骨文字や寒灯下
- 寒灯や小さき埴輪の人と馬
- 寒灯の遠きゆらぎや道祖神
- 神奈川県 成田あつ子
- 消さず置く一寒灯を熱の子に
- 紐引きて寒灯ともす一葉忌
- 寒灯や吾を見送る母小さき
- 生活の灯寒灯となりやがて消ゆ
- 母ありてこそ寒灯のやはらかき
- 千葉県 横井隆和
- 冬の灯や湯気ほくほくと絹豆腐
- 寒灯し窓に影射す受験生
- 寒灯の島影過るクルーズ船
- 冬の灯や夕餉に恋しタングステン
- 寒灯下産ぶ声高くあかね朝
- 埼玉県 小玉拙郎
- 寒灯や昭和映画の花柳街
- 寒灯やそれがすべての古本屋
- 寒灯の岸より小舟漁に出る
- 終列車去って寒灯のみとなり
- 奈良県 平松洋子
- 寒灯内職の手もかじかんで
- 寒灯終電の音にほっとする
- 手を繋ぐ二人に優し寒灯
- 東京都 中田ちこう
- 寒灯や薪の影濃き軒端かな
- 奈良県 一人坊
- 寒灯下一人行く身や遍路道
- 寒灯も帰路の輝き有難き
- 路地の猫祇園も更けし寒灯下
- 愛媛県 アリマノミコ
- 熟田津の路へと続く冬灯
- 寒灯や血液検査ふたたびの
- 寒灯下ルーペ片手に花図鑑
- 神奈川県 皆空眞而
- 寒灯の影を消し去る雨の糸
- 寒灯を過(よぎ)りわが家の寒灯へ
- 携帯が面差し照らす寒灯下
- 寒灯の通用口と老守衛
- 東京都 住澤義英
- 寒灯下水面に跳ねて虫を喰う
- 寒灯下吉原夜景影のごと
- 寒灯下深く息吐き座禅かな
- 寒灯化ぐずる我が子に涙する
- 岡山県 岸野洋介
- 寒灯の集まるところ駅近し
- 寒灯や遺影の妻は今日も笑み
- 厠への小き寒灯つけしまま
- 寒灯下竹馬の友の通夜に出る
- 老い独り寒灯点し寄合へ
- 岡山県 うさぎまんじゅう
- 寒灯や足湯の湯気の白きこと
- 寒灯のいで湯の町に二人連れ
- 寒灯も星に混じるや日本海
- 寒灯や円居に笑う夜は更けて
- 寒灯や古びた駅舎照らしをり
- 千葉県 入部和夫
- 手に温きコンビニカフェや冬灯
- 滋賀県 村田紀子
- 山際の寒灯目指す小さき足
- 寒灯や猫が番する庵かな
- 寒灯が川面に映り帰路急ぐ
- 卓袱台に家族揃った寒灯や
- 神奈川県 松風子
- 寒灯下愛ある日々を想ふ曲
- 一寒灯霊屋の奥に揺れもせず
- 寒灯や丸き火影となりて雪
- 寒灯や刹那を騒ぐ人の群
- みちのくの寒灯ともる雪の駅
- ブラジル 林とみ代
- 寒灯下夫の遺せし杖二本
- 寒灯の潤む街角人待てば
- 冬灯路地に商ふ屋台かな
- 寒灯下メトロ出口の楽師かな
- 早々と寒灯点し夕の膳
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 寒灯の書肆に人影まばらなり
- 寒灯をくぐり分かれて女湯へ
- 寒灯や言葉少なにハイボール
- 寒灯やシャッター通り商店街
- 子供乗せ自転車急ぐ冬灯
- 東京都 皆川里枝
- 寒灯や新しき駅舎の木のにほひ
- 車窓より過ぎ行く寒灯里心
- 寒灯や自転車の音のみ響きけり
- 過疎の村地蔵の浮かぶ寒灯下
- 一人歩く寒灯のみの商店街
- 神奈川県 月野木潤子
- 波郷忌の朱筆加ふる冬灯
- 寒灯に紛れてネオン明滅す
- 己が影おほきく揺らぐ寒灯り
- 張り紙は忌中の二文字寒灯下
- 結び目の解けず寒灯ひき寄する
- 大阪府 太田紀子
- 薄れゆく荼毘の煙や寒灯
- 子の麻酔未だ覚めやらぬ寒灯下
- 一人寝る寒灯消えし闇の中
- ブラジル 広田ユキ
- 寒灯や線香立の灰篩ふ
- 晩学の俳句に挑む寒灯
- 寒灯や余生に出会ふホ句の道
- 百態の水子地蔵や冬ともし
- 裏町はまだ覚めやらず冬灯
- 東京都 岩川容子
- 寒灯下薬の効能読みかえす
- 寒灯下みな俯きし通夜の客
- 病める子に本読み聞かす寒灯下
- 冬灯人を待つ間の古本屋
- 東京都 かつこ
- 寒灯に祈り病院帰る道
- 埼玉県 守田修治
- 寒灯や図書館隅に学生ら
- 寒灯や年に一度の籤を買う
- 靴音に遠吠えしきり冬ともし
- 研ぎあげし包丁照らす冬灯
- 東京都 遠山比々き
- 熱く語る敗者の美学寒灯下
- 福岡県 西山勝男
- 余念なき仏師はひたと寒灯
- 寒灯喪中の家やひっそりと
- 一つ灯に妻との写経寒灯
- 寒灯下微醺の歩み正しうす
- 埼玉県 哲庵
- 寒灯や単身赴任三年目
- 駅前の深夜保育所冬灯
- 寒灯やホームの端の喫煙所
- 九時に消す小児病棟冬灯
- 寒灯やシャッター街のはぐれ猫
- 神奈川県 三好康子
- 腰据ゑて大和墨摺る寒灯下
- 阿修羅像のまとふ愁ひや寒ともし
- 寒ともし父の膝まで這ひ行く子
- 寒灯下愛染明王拝しけり
- 子に遺すことばは一つ寒ともし
- 岐阜県 村瀬佐智子
- 密室の謎深まりて寒灯
- 寒灯や地酒楽しむ一人旅
- 寒灯写経する手の滞る
- 寒灯や母の寝息の落ち着きぬ
- 着信の点滅続く寒灯
- 兵庫県 ぐずみ
- 地上げ屋の余燼軒端をうつ寒灯
- 寒灯下露西亜革命百年史
- 寒灯の無言劇なるハイウエイ
- 寒灯を窓に uisce とシベリュウス
- チャップリンに似た人往くや一寒灯
- 兵庫県 山崎衣玖
- 寒灯やポケツト奪ひ合ふ姉妹
- 寒灯や人家の如きポンプ小屋
- 寒灯下出口なき元繁華街
- 寒灯や襟を合はする手の強き
- 寒灯下赤色灯のとどまりぬ
- 千葉県 下総真里
- 寒灯や触診の指ひらめける
- また覗く柩の小窓寒灯下