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俳句庵
4月『甘茶』全応募作品
(敬称略)
- 付け爪の指で甘茶を掛けており
- 甘茶仏甘茶色なる昼下がり
- 濡れし手に花びら留む甘茶仏
- 甘茶かける手の美しき僧侶かな
- 甘茶掛け杓のかち合う釈迦の前
- 釈尊にざぶざぶかける甘茶かな
- 奪ひ合ふやうに甘茶の杓を取り
- 子の成長願ひ甘茶を灌ぎけり
- 数珠なりに杓の順待つ甘茶寺
- 里寺で一人甘茶を灌ぎをり
- 水盤に波ぱちやぱちやと甘茶掛く
- 御仏の御仏たりて甘茶かな
- 童子らにほどよき高さ甘茶仏
- 尼寺の小さき御姿五香水
- 甘茶仏絶えなく甘露の雨に濡れ
- 甘茶仏煎茶みたして吾が湯呑
- 三寸の仏が光る甘茶かな
- 五色水母の背中追ふ石畳
- 天蓋に花いっぱいの甘茶仏
- 日のさして神も仏も甘茶かな
- 下町に子供集めて甘茶寺
- 甘茶寺いつもは閉ざす東門
- 天を指す肘から甘茶ぽとぽとと
- 右肩に甘茶を注ぐ左利き
- 灌仏の子供の騒ぎ橋向こう
- 甘茶仏濁世の民の柄杓受く
- お隣で甘茶を貰うマグカップ
- 幾とせの甘茶に目鼻うすれけり
- 甘茶佛光りの衣纏いけり
- 甘茶汲む吾善男にあらねども
- 微笑むと微笑み返し甘茶佛
- 灌仏の列に灌仏ほどの嬰
- 花見堂 釈迦に甘茶を 注ぎけり
- 稚児たちの欠伸まろやか花祭り
- 箒目の庭をつたいて甘茶寺
- 旅人となりてお宿の甘茶飲む
- 園児らの手に余りたる甘茶杓
- 農仕事終えて甘茶の三時かな
- 濯ぐほど光新たに甘茶仏
- 母子孫女三人甘茶かな
- 子供らと眼の合ふ高さ甘茶仏
- ぜいたくな色と味もつ甘茶かな
- 幼児の抱かれて濯ぐ甘茶かな
- 甘茶出す小坊主いまだ幼顔
- 一指差す天上天下甘茶仏
- 住職は達筆なりし甘茶寺
- 濯ぐ子の味確かめる甘茶かな
- 甘茶かけ土産に買いし迷子札
- 境内の花に誘われ灌仏会
- 天も地も穏やかなれと甘茶かけ
- ぽかぽかと温む日なたの花祭り
- 生うけしばかりの子抱く花まつり
- 釈迦牟尼も甘茶にまどろむ昼下がり
- 子に教ふ<唯我独尊>甘茶飲む
- 甘茶浴び天上天下唯我独尊
- いま一度命確かめ甘茶飲む
- 甘茶浴び顔色変えぬ誕生仏
- 甘茶汲む誕生仏の言葉汲む
- めでたさになみなみ掛ける冷え甘茶
- 水盤に仏の見えて甘茶かな
- あたらしき塔は雲上甘茶仏
- 大柄の僧に渋茶を甘茶寺
- はからずも妻に嬉しき甘茶かな
- 黙祷の後甘茶の柄杓動きけり
- 次々に渇く間も無き甘茶仏
- 甘茶寺募金の箱をどんと置き
- 奈良京都山に囲まれ灌仏会
- 甘茶寺柄杓でチャンバラ稚児の群
- 有名になれぬ幸せ灌仏会
- 炊き出しの湯気吹き上げて甘茶寺
- 一列に見知らぬ人や甘茶仏
- 甘茶もて早々「甘茶」と綴りけり
- 一筋の光差し込む甘茶かな
- 御姿の卍に見えし甘茶仏
- 時々は悲しきお顔甘茶仏
- 真似る児のうしろ姿や花祭り
- 人生味甘茶ほどには甘くなし
- 辛党の父母とも今日は甘茶かな
- 釈迦のこと知らぬが子等は甘茶飲む
- 皆力合せて生きる五色水
- 境内で杉を見上げし甘茶飲む
- 甘茶寺見え隠れする吟行衆
- 履物を散らかせ子等が甘茶飲む
- 参道に墓碑案内の甘茶寺
- 住職が甘茶のにおいさせる壇
- 眼帯の子の願掛けて甘茶寺
- 濯ぎいる甘茶に光る仏かな
- 甘茶寺うらに回れば虚子の墓
- 柄杓にも指の窪みや甘茶仏
- ご隠居はいつも横顔甘茶のむ
- 甘茶掛く小さき仏の頭から
- 鎌倉は甘茶巡りのカフェテラス
- 学びいる漫画の禅や甘茶仏
- 天を指す指を伝はる甘茶仏
- 一所光集まる甘茶仏
- 九匹の竜の注ぎし五香水
- いつまでも祈りは尽きず甘茶仏
- 幾たびも仏の産湯掛けてをり
- 職決まり ほっこりすする 甘茶かな
- 全身を漆黒にして甘茶仏
- 甘茶聴く たおやかなりし 横顔よ
- 水筒に甘茶をもらい田へ急ぐ
- 合掌し仏にぶつ掛ける甘茶
- 背伸びして幼児の掛けし甘茶仏
- 甘茶仏ずぶ濡れのまま天地指す
- 竹製の器(うつは)で喫す甘茶かな
- 鳩の輪を三重に五輪に甘茶仏
- 正座して甘茶すすれば青き空
- 抱き上げて甘茶の柄杓持たせけり
- 甘茶来て少し人差し指震え
- 善男にあらねど旅の甘茶享く
- 大空を甘茶の里と思ひけり
- 背伸びして甘茶をそそぐ女の子
- 簡単な言葉に躓き甘茶かな
- 甘茶仏祀るルンビニ幼稚園
- 一通り復習してから甘茶かな
- 稚児行列甘茶をそそぎ解散す
- 三寸の唯我独尊甘茶佛
- 別れたる人の分まで甘茶かけ
- 甘茶佛小さき柄杓で奉る
- 笑もせずに供養のごとき甘茶かな
- 小柄杓で甘茶を注ぐ南禅寺
- 東天に向かいて甘茶虹となれ
- 天を指す御手にも甘茶注ぎけり
- ほの温き甘茶をなめて猫欠伸
- 吟行の渇き甘茶で癒しけり
- 甘茶飲む娘ののどの白さかな
- 七年も歩みし吾子に甘茶立て
- 水筒の温き甘茶や墓掃除
- 御仏の右の指にも甘茶掛け
- 甘茶かける稚児の国籍豊かなり