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俳句庵
11月『落葉』全応募作品
(敬称略)
- 大阪府 藤田康子
- 落葉踏むずつと祈りのやうにふむ
- 眠るてふ安らぎを得し落葉かな
- 愛知県 遊泉
- 館跡落葉の谷に埋もれをり
- これよりは奈良の都ぞ落葉踏む
- 外苑の銀杏落葉の別世界
- 青年僧ただひたすらに落葉掃く
- 落葉踏むヴィヴィアン・リーの二本立
- 神奈川県 吉良水里
- サックスの音波立ちて落葉かな
- 踊り子の裾ひるがえり落葉かな
- 買物の何故か寂しや落葉道
- 新潟県 近藤博
- 風に伏しなほ反り返る落葉かな
- さくさくとリズミカルなる落葉道
- 散り敷ける銀杏落葉の黄金道
- 美しく散り敷く落葉歩の軽し
- 風に舞ひ一ひら二ひら落葉かな
- 愛媛県 砂山恵子
- 手水舎の底の見えなき落葉かな
- ヒロシマの慰霊碑横の落葉籠
- ヒロシマや落葉ひとつを日にかざし
- 桜落葉母校の壁の生成り色
- 老人の白杖触るる落葉かな
- 東京都 新保徳泰
- 暮れのこる学園通り落葉踏む
- 落葉焚き道ゆく人のふり返る
- 道路にも肩といふもの落葉掃く
- 閑中の忙のひとつに落葉掃き
- 旧居訪ふ老いの二人や落葉径
- 東京都 五十嵐顕人
- 落葉踏む兄は未婚のまま生きる
- 落葉道愛犬の臍をくしゅくしゅと
- 兄のほか既婚でありぬ落葉掃き
- 神奈川県 守安雄介
- 本堂の裏に積まれし落葉かな
- 音良きに落葉プールの浮力無し
- 落葉分け草鞋虫採る女子大生
- 濡れ落葉広縁の夫動かざる 18A*75
- 柿落葉片寄せ掬う泉かな
- 兵庫県 岸下庄二
- 掃き癖のつきし箒で落葉掃く
- 掃き寄せる道の落葉に古軍手
- 落葉掃く作務衣の僧の青つむり
- 落葉焚く煙に里の匂ひあり
- 走り根を隠す落ち葉に躓きぬ
- 愛媛県 渡邊國夫
- 落葉敷く陣屋跡なる我が母校
- 早朝のお宮詣や落葉径
- 編笠一蓋の旅や落葉踏む
- 点滴のポトリポトリや落葉の夜
- 険阻なる修験の径や濡れ落葉
- 岐阜県 金子加行
- 別れへの舞を見せつつ落葉す
- 落葉踏む音の中なる独り旅
- 草野球ボールやここに落葉掃く
- 千年の樹の衰へず落葉す
- 名園の趣さらに落葉かな
- 千葉県 柊二
- サドル振る尻や峠を掻く落葉
- 神奈川県 佐藤博一
- 捨てるには惜しき落葉を拾ひけり
- 吹くたびに光彩なす落葉かな
- 真向かいに富士を置いたる落葉かな
- しばらくは風に任せし落葉掃き
- 落葉して空透くまでの青さかな
- 栃木県 垣内孝雄
- 落葉掃く妻の手馴れの竹箒
- 落葉径本宮これより半里ほど
- 馬車道の黄昏どきの落葉かな
- 落葉踏むまんまる屋根の幼稚園
- 陵の風に舞ひ立つ落葉かな
- 大阪府 金成愛
- めざめしに身をのばしきる落葉かな
- 岐阜県 ときめき人
- 轆轤師の鉋千筋落葉舞ふ
- 東京都 石川昇
- 土となる橅の落葉のミルフィーユ
- 絶え間なく水生む森の落葉かな
- 島根県 GONZA
- 噴き上がる如く積もれる落葉かな
- 折敷て重なる落葉躙り口
- 恋文は落葉を挟む詩集かな
- 校長が三時間目に落葉掃く
- 絶壁や落葉当たって響きけり
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 情けなや落葉嫌はれ枝切らる
- 橅林の分厚き落ち葉ダムとなり
- 樹の戦略や一斉に落葉降る
- ブラジル 林とみ代
- 落葉散る別れのワルツ舞ふ如く
- 山路来て欧米風の落葉宿
- 郷愁てふ心の痛み落葉散る
- 美しき落葉を皿に菓子を盛る
- 行く先も告げず落葉の風に乗り
- 兵庫県 髙見 正樹
- ベランダに落葉がひとつ風止みぬ
- 潜むものあるや落葉をそっと踏む
- 丸まって風に転がる落葉かな
- 長野県 木原登
- 落葉松落葉吹雪く峠を越えにけり
- ペイネ描く落葉の森に棲みたしよ
- ゆつくりと舞ひくる那智の滝落葉
- 落葉一枚待ちゐる昼のカフェテラス
- 朴落葉葉脈のみとなりにけり
- 栃木県 鹿沼 湖
- 夕暮れのベンチに独り落葉かな
- 砂山のケーキに揺るる落葉かな
- 青森県 竹浪誠也
- 丁度よき風との出会ひ落葉舞ふ
- 放たれて子等の輪に入る落葉かな
- 美しき落葉となりて生ひ出づる
- ご破算で願ひましては落葉降る
- 掃かれゆく無念無想の落葉かな
- 広島県 永野昌人
- 降りし日の落葉それぞれ美しき
- 落葉早や大和島根に那由多かな
- 全きの一つとてなく柿落葉
- 落葉掃くそばから落葉また落葉
- 塵取の落葉散らすやつむじ風
- 静岡県 城内幸江
- 落葉踏むかけっこ遅くなりにけり
- 狛犬と目を合わせずに落葉掃く
- 落葉掃く丸い背中の母といて
- 公園の足跡雑ざり落葉掃く
- 埼玉県 岸保宏
- また増えし母の白髪が落ち葉どき
- 三回忌いつもの道の落ち葉踏む
- 落ち葉かご燃えてるやうに背で揺れる
- 宮城県 林田正光
- 落葉掃く人と会釈し帰路急ぐ
- 落葉踏む一歩一歩の音響く
- 傘さして落葉時雨と戯れて
- 公園の銀杏落葉に寝転びて
- 恐らくは父も歩みし落葉径
- 福岡県 紙田幻草
- 参道の出店の銀杏落葉かな
- 駐車場落葉だまりとなってをり
- ゆるやかに川辺へ下る落葉坂
- 立ち上がる落葉転がる落葉かな
- 落葉踏み落葉蹴散らし下りけり
- 兵庫県 岸野孝彦
- 遠き日の桜落葉の栞かな
- 柿落葉虫食いあとの虚空かな
- 竹ぼうき落葉はらはら母逝けり
- 落葉炊き禁止の里の夕茜
- 母逝きて庭の落葉の重さかな
- 東京都 岩崎美範
- 子の呉れし万歩計つけ落葉踏む
- 兜太読む栞は庭の柿落葉
- 首塚に音もなく降る落葉かな
- 落葉掃くガウチョパンツの少女かな
- 落葉舞ひ音なき音を奏でけり
- 兵庫県 はなちる
- 限りなく庭に積りし落葉かな
- 山風に過疎地落葉の渡りゆく
- ドアの外訪ねし来るは落葉のみ
- 靴裏に濡れし落葉の美しき
- 鈴鳴れば落葉はぐれて賽銭箱
- 神奈川県 海野優
- 落葉降るものの命の息遣ひ
- 紅落葉しをりに挟む文庫本
- 武士の世語り聞くと落葉踏む
- サヨナラと外国語めき枯れ葉散る
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 火葬場の 落ち葉集めて 灰にする
- 窓を見る 落ち葉のように 散る命
- 風が吹く 枯れ葉も木から 落ちていく
- 芋を焼く ために生まれた 落ち葉かな
- 葉が落ちて 炎に落ちて 火葬する
- 東京都 原井壮
- 落葉の天地を返す木枠かな
- 神奈川県 井手浩堂
- 日の温み匂ひもとどめ落葉山
- 落葉して溶岩の岩肌かくしけり
- 子を入れしこともありけり落葉籠
- 肩打つや三千院の朴落葉
- 落葉掻くかつて兎を追ひし山
- 東京都 勢田清
- 落葉降る音聞きながら眠りけり
- 落葉焚く炎の色の美しき
- 桐落葉大きな音を立てにけり
- 落葉道乾いた音と日の香り
- 休日の道どこまでも落葉かな
- 栃木県 仲川光風
- 神官や煙りに隠れ焚く落葉
- 子らの無き公園渦巻く落葉かな
- 林間の虚空を泳ぐ朴落葉
- 落葉や境内の宙澄み渡る
- 柿落葉ひらりと小鳥降りるよに
- 東京都 内藤羊皐
- むさしのの落葉彩る透谷碑
- 乳呑子の蹠を触れる落葉かな
- 揚げたてのコロッケ齧り落葉踏む
- ジョッカーの落葉音立つ獄跡
- オーボエの音色響める落葉かな
- 神奈川県 萩原照代
- 落葉舞う街に楽しむバレリーナ
- 落葉踏む音と合わせる琴の音
- 金色の仏にひらり落葉かな
- 母と行く並木に落葉きらきらと
- 若宮で静のごとく落葉舞い
- 愛知県 木下澄枝
- 木洩れ日や落葉しきつむ石畳
- 雨しとどさくら落葉の鮮やかに
- すべるやうにころがるやうに落葉道
- ひとひらのあとは続かず朴落葉
- 日の匂ひもろとも詰めて落葉籠
- 大阪府 津田明美
- 肩に落つ遍路の寺の落葉かな
- 落葉舞う群雄割拠のスクリーン
- 馬車道や落葉して行く異邦人
- 落葉焚燃えぬ手紙の二三通
- 一つ又一つ音踏み朴落葉
- 東京都 伊藤はな
- 落葉風欅並木を攫ひをり
- 降りしきる銀杏落葉に破れ扇
- 地の色をすっぽり隠す柿落葉
- 庭の柿雨後の落葉の艶めけり
- 欅坂落葉時雨に風の波
- 神奈川県 酔宇
- その刹那落葉となりて山桜
- 托鉢へ落葉一枚付いて行く
- 天駆る落葉ひとひら天狗季
- 降り積る銀杏落葉の古社
- 見上ぐれば嬉しきほどに落葉降り
- 東京都 安西信之
- 野球部の足並み揃ふ落葉かな
- 遠き日や缶けりかけっこ落葉焚
- 子のやうに抱かるる仔犬落葉道
- パソコンをベンチに開く落葉かな
- 徳島県 白井百合子
- 赤き火に昔話しの落葉焚
- 富士山の落葉踏みたる太い足
- 何処までも落葉は飛べる風の友
- 峠越し籠に落葉の土産かな
- 日は沈む静寂だけの落葉道
- 神奈川県 矢神輝昭
- さで掻や男波女波の落葉掻き
- メモリーや落葉の嵩を詰め込みぬ
- 洛陽や落葉ふみふみ寺巡り
- 茗荷畑落葉を盛りてふかふかと
- 別荘やセダン埋もるる落葉かな
- ブラジル 西山溥子
- それなりに狭庭を埋めて落葉かな
- ふと横に妣の佇つかに落葉焚く
- 一陣の風に乗りたる落葉かな
- 樋と云ふ樋を詰らせ落葉散る
- はらはらとばさりと落葉降りにけり
- 奈良県 平松 洋子
- 散りて尚公園駆ける落葉かな
- 雨ならば傘も要るよな落葉降る
- 百メートル勿体なくも落葉掃く
- 千葉県 四葩
- 年金の葉書が二通落葉降る
- 庭石の古びて落葉また落葉
- 落葉踏む音立てて踏む通学路
- 落葉道来てジャズを聞く小さき店
- 岡山県 きしの洋介
- 野仏の裾を彩る落葉かな
- かさこそと落葉駆け来て追い越せり
- 落葉道こっそり絵馬を掛け帰る
- 牧水の歌碑たつ乢や落葉ふる
- 年寄と落葉がたまる辻の堂
- 兵庫県 山地美智子
- タクシーに銀杏落葉も乗って来る
- 民宿に荷を置く巡る落葉道
- 道の上の風が動かす枯落葉
- とりどりに色の重なる落葉かな
- 舗装路の落葉を回すつむじ風
- 神奈川県 梶満理子
- 落葉掃き収集車待つ青き空
- 竹ぼうき休む間もなく落葉降る
- 落葉掃く音聞き目覚め湯を沸かす
- 吹きたまる落葉や歩道掃き清め
- 落葉踏む夜の足音耳すます
- 滋賀県 船岡房公
- 風道にはらはら落葉時雨かな
- 御堂筋銀杏落葉を踏みゆけり
- 幼らのくるぶし埋もる銀杏落葉
- 桜落葉その赤や美し黄また美し
- 虫喰いもアートなりけり柿落葉
- 埼玉県 櫻井俊治
- 朝の巫女しずしず落葉掃き浄む
- かさこそと落葉踏み締む峠道
- 神奈川県 塚本治彦
- 杣道の先途絶えたる落葉山
- 胎のごと落葉休らふ大地かな
- 覆ひたる落葉賽銭箱の口
- 押し詰めて背負へぬほどの落葉籠
- 落葉の香するばかりなり獣道
- 神奈川県 龍野博史
- 公園に兵器庫の跡落葉散る
- 落葉焚じゆつと言はせて終ひけり
- 寅さんの寺とや僧の落葉掃く
- 街角を落葉は走り吹きだまる
- 大阪府 小島文郁
- 里山の夕日を染めて落葉舞ふ
- 散り敷きて銀杏落葉の夕明かり
- しばらくは足裏に預け落葉道
- ふくよかな音心地よし落葉踏む
- 湖に落葉時雨の色を織る
- 神奈川県 三枝侑子
- その女はらはら落葉のやうに泣く
- 狛犬も寂しき日あり落葉雨
- 落葉踏むキャラメル色の銀座かな
- 落葉して離婚届に判を押す
- 落葉かなゴーストタウンの昼の闇
- 神奈川県 金剛
- 落葉雨追ふ子供らに降る光
- 杖をつく音の乾きや落葉道
- 野良猫の骸に寄する落葉かな
- 落葉ふるサナトリウムの日の翳り
- 落葉や赤いポルシェが疾走す
- 神奈川県 白銀
- 落葉拾い ミレー原作 本公開
- 落ち葉かき もう冬だなと つぶやく日
- 落ち葉の影 オサムシかさこそ ご登場
- 落葉散る 紅葉終わり 冬至る
- 焼芋で 落ち葉で焚き火 あったかや
- 東京都 かつら
- 法螺貝に 唐松落葉 ひかり降る
- 落葉着て 遠い時間の 中にいる
- 前掛けの 結び目かたく 落葉掃き
- 見上げれば 飛行機雲や 落葉焚
- 蔵出しの 口コミ盛ん 落葉時
- 山口県 山縣敏夫
- 平成に別れを告げる落葉かな
- 落葉踏み今日も児童の登下校
- 千年の都大路に落葉舞う
- 山寺の和尚が庭の落葉掃く
- 作業場に人が集うて落葉焚き
- 愛知県 斉藤浩美
- 落葉積む戦国の世の城跡に
- 落葉踏むひと駅分の音立てて
- 柿落葉一枚を追う二枚かな
- 木の股に小さき祠や落葉期
- てんこ盛り入れても軽き落葉籠
- 三重県 後藤允孝
- 散り敷ける落葉重ねし並木道
- 鎮もれる川面の落葉色を織る
- 通学路の音も十色の枯落葉
- 散り落葉の色を楽しむ散策路
- 嵩よりも掃くには重き濡れ落葉
- 埼玉県 まんたろう
- 落葉踏む土の匂ひの少しあり
- 改札を出づればネオン落葉踏む
- 胸中にふるさと在つて落葉雨
- 右ながれ又右ながれ落葉風
- 気掛りな言の葉一つ落葉踏む
- 神奈川県 後藤真子
- 讃美歌の天まで届く落葉時
- すずめ舞い落葉の色の猫跳ねる
- 子の髪の落葉をはらう手の優し
- 落葉道はだかの木々の凛と立つ
- 夢追わんエルムの杜の落葉踏み
- 神奈川県 成田あつ子
- 押し込めば日の香溢るる落葉籠
- 映画めくウイーンの墓地の落葉かな
- 落葉踏む杖一本の音のあり
- 友よりの旅信なるやも朴落葉
- 散る音のそれぞれ違ふ落葉かな
- 東京都 中田ちこう
- 背負子見ゆ歩荷落葉の尾根登る
- 千葉県 伊藤博康
- 夜からの雨が落葉の音を消し
- 落葉踏み近づいて来る気配あり
- 仰ぎ見る鳥居を潜る落葉かな
- 一軒を欅落葉が包みけり
- 音隠し落葉は暫し休みけり
- 神奈川県 松風子
- 死にし子を抱く親猿に落葉降る
- 朴落葉大往生の媼かな
- 吹きだまる落葉に落葉重なりぬ
- 日面の落葉浄土になりにけり
- 金色の雨降るやうな落葉かな
- 神奈川県 志保川有
- 俗念を棄てきれぬ尼落葉焚
- ここよりは立入禁止落葉道
- 降り積もる落葉の数の命かな
- 古樋に引きとめられし槻落葉
- 堆き落葉のわきの無縁墓地
- 大阪府 永田
- 何方を覆ふや落葉百舌鳥古墳
- 滋賀県 光汰朗
- 湖底までゆっくり沈む落葉かな
- 信長に焼かれし山の落葉かな
- 大門に吹きたまりたる落葉かな
- 落葉掃く坊守に降る落葉かな
- 高校は城内にあり落葉降る
- 東京都 佐藤博重
- 落葉掻く玄関までの石畳
- 落葉の駅に至りし中通り
- 中尊寺何処も彼処も落葉す
- 大阪府 太田紀子
- 散歩道亡夫の杖で落葉踏む
- 峠道村への道も落葉あり
- 水無瀬川落葉筏の流れをり
- 東京都 ねぎみそ
- 公園の落葉や子らの踏み遊ぶ
- 落葉掃くきのうのことを捨てていく
- 富山県 岡野満
- 肩に降る落葉ひとつの縁かな
- 落葉して隣の家の近さかな
- 落葉して幾何学模様浮かびけり
- 東京都 豊宣光
- 落葉掃く僧の作務衣や夕の鐘
- 降る落葉枯山水を彩りぬ
- 万物は滅びへ向かう落葉かな
- 落葉して寂しさここに極まれり
- 積もりたる落葉の下にある秘密
- 北海道 飯沼勇一
- 軽トラをこけつまろびつ追ふ落葉
- 鐘の音や落葉起きたり寝ていたり
- 次世代に後を託して落葉寝る
- 小さき手を開けば赤い落葉咲く
- 落葉踏む音フォルテなるハイヒール
- 三重県 西井治男
- 吹かれ舞い三重奏の落葉衆
- 区の行事落葉集めて知り合いに
- 愛知県 新美達夫
- 行員の落葉掃きゐる始業前
- 吾が庭の意外な広さ落葉掃く
- 落葉掃く巫女の緋袴赤鼻緒
- 現役の日々のことども落葉掃く
- 標無き城址落葉の降り止まず
- 大阪府 磯川佳子
- 鹿威し落ち葉に埋もれ音の無く
- 落葉しきりブルーシートの寺の屋根
- 葉の落ちて飛行機雲ののびやかに
- 葉の落ちて空蝉のなおしがみつき
- アダージェットのテンポで落ち葉黄昏る
- 東京都 笹木弘
- 落葉舞ふ恋の片道切符かな
- 枝折戸を押さずにくぐる落葉かな
- 走り根に落葉の溜まる関所かな
- 虫食ひも栞となりし落葉かな
- 落葉一枚回転ドアに紛れこむ
- 神奈川県 皆空眞而
- 落葉して丹沢見ゆる富士山も
- 落葉どき芳香放つ私の木
- 金色に落葉乙乙扇形
- 新潟県 加藤正子
- 落葉時豊かに鰭の錦鯉
- 境内に鬼の声して落葉焚き
- 柔らかに風の連れ来る落葉かな
- 滋賀県 村田紀子
- 急坂も落ち葉の赤に安らぎを
- 落ち葉見て湧き出る力朱色かな
- 二年先思う気持ちや落ち葉かな
- 落ち葉舞う三年前の我のよう
- 夕餉時落ち葉踏む音子等の声
- 山形県 白竜
- 腰を立てボランティアの子落葉掃く
- 謎多き我が人生の落葉道
- 落葉掃く我の終結思い込め
- 濡れ落ち葉踏み分け進む老夫婦
- 老いし身に落葉の嵩は重荷なり
- 神奈川県 三好康子
- 音消えし落葉時雨の石畳
- 吹きたまる磴の両端落葉掻く
- バンダナと作務衣の僧や落葉掃く
- 落葉掃く山廬の軒に箕と農具
- 馬車道の落葉明りの茶房かな
- 千葉県 横井隆和
- 落ち葉敷く並木の日和やカフェのJAZZ
- 落ち葉した欅や筑波の峰を掃く
- 東京都 岩川容子
- 落葉道介護施設のバスが行く
- 日を溜めし落葉に猫の来て眠る
- 部活動始める前の落葉掃き
- 手つかずの空家に積もる濡れ落葉
- 掃き終えたそばから落葉また一枚
- 福岡県 西山勝男
- かさこそと日の斑綾なす落葉かな
- 行道や落葉時雨の只中に
- 武蔵坊の墓へ散り敷く松落葉
- 雲水の朝な朝なの落葉掃く
- 降りしきる銀杏落葉の富貴寺かな
- 東京都 紫箒
- 竹箒 使って落葉 無重力
- 野良猫の 落葉踏む音 4ビート
- 銀杏を 踏んでたじろぐ 落葉掻き
- 東京都 紫掃
- ままごとの 皿を彩る 柿落葉
- 風下の 方へと祖母は 落葉掃く
- 落葉掻く 熊手操る 孫の笑み
- 東京都 紫掻
- 山に入り 落葉掻き分け 茸狩る
- 枯れ木みて 平成最後の 落葉掻く
- 掻いた跡 好んで落ちる 朴落葉
- 東京都 右田俊郎
- 嬉し気によちよち歩き落葉踏む
- 形良き落葉ひと葉を栞とす
- 歳時記に落葉はさめば一句生る
- 何らかの不満の仕草落葉蹴る
- 掃き集む落葉を風のまた散らす
- ブラジル 広田ユキ
- 走り根に歳月ありて落葉積む
- 音立てて椰子の葉一つ落ちにけり
- ひとしきり落葉時雨の森の径
- 落葉踏む母と子の音異なりて
- 大方は隣の落葉今日も掃く
- 福岡県 紅さやか
- 車椅子の轍つけゆく落葉道
- 青空へ落葉まきあぐ親子かな
- 埼玉県 守田修治
- 子規庵の落葉に匂いありやなし
- 落葉散る社に不似合い従軍碑
- 釣銭を落葉にこぼすご老体
- 国語辞書栞となりたる落葉かな
- 落葉踏むまたマンションか測量士
- 千葉県 入部和夫
- 今日の日の殊に愛しき落葉踏む
- 大阪府 椋本望生
- 昼もまた擦り寄る落葉掃きにけり
- 庭を見て木々を見返す落葉かな
- 落葉掃く且つ焚くダリの朝かな
- 結局は捨てる落葉を手のひらに
- 落葉焚くひもじ思ひのあの頃も
- 埼玉県 哲庵
- 犬ころのもぐってをりぬ落葉籠
- 落葉掃く登校前の通学路
- 中にあるもの当ててみよ落葉焚
- 泣き顔のやうな虫喰ひ落葉かな
- 幼子の忍法落葉隠れかな
- 千葉県 高倉真生
- 落葉掃く若き新人候補かな
- 真紅なるヒールに踏み抜ける落葉
- 落葉道母のまどろむホームへと
- 千葉県 みやこまる
- 5グラムの風を乗せたる落葉かな
- 京都府 山辺木綿子
- 校庭を落葉転がる日暮れかな
- あの闇に獣の気配落葉降る
- 曲がり角隅に積みたる落葉かな
- 福岡県 多事
- 青澄める空の渇きや落葉弾く
- 母追へばいよいよ深き落葉かな
- 吾が空は祇王寺にあり落葉掃く
- 落葉にて描かる道化やエスプレッソ
- 落葉焚く世知辛き世に落葉焚く
- 兵庫県 ぐずみ
- リア王の背中に積もれる落葉かな
- 裏表作らぬ性の落葉かな
- 東京都 飯田 哲司
- 落葉踏む雑木林が遠くなる
- せせらぎにひらり落葉やあとたたず
- いづこより窓辺寄りそふ落葉かな
- はらはらと織りなす落葉大地肥へ
- 東京都 綾部 捷子
- 街路樹の銀杏落葉の広さかな
- 街路樹の銀杏落葉のたちこめる
- 神奈川県 髙梨 裕
- 無事暮れる老いの生まれ日庭落葉
- 炎立つ闇に燃え付く落葉かな
- まだまだと落葉踏み締め古希の坂
- 落葉焚く夕餉の妻を待ちながら
- 満天の星や落葉の廃村に
- 東京都 豊島 仁
- 仲よしと落葉蹴とばし下校かな
- 落葉掃く僧侶の後にまた落葉
- この道やいまは落葉とただの風
- 晩鐘に急ぐ家路の落葉かな
- 面影を偲びてそっと触る落葉
- 京都府 中村 万年青
- 地の虫やおちばの夜具の温かし
- 公園の大樹は皆落葉時
- 枝より出で大地へ還る落葉かな