- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2017年06月 優秀賞発表
- 俳句庵 2017年06月 作品一覧
俳句庵
6月『短夜』全応募作品
(敬称略)
- 新潟県 近藤博
- 短夜や残んの月は弓張りに
- 寝苦しく熟寝(うまい)せぬまま明早し
- 短夜や豊旗雲の紅薄く
- 短夜や庭に早々明け烏
- 寝苦しや浅き眠りに明早し
- 神奈川県 佐藤博一
- 早々と夕餉をすます短き夜
- 思ひ出しまた忘れゆく短夜かな
- 一言に二言返す短夜かな
- 短夜や寸暇を惜しみ針仕事
- 眠ろうとすれば眠れぬ短夜かな
- 千葉県 柊二
- 短夜や沼の木道闇を這ふ
- 愛知県 遊泉(ゆうせん)
- まづくくと鳩の鳴き声明易し
- 難問の堂々巡り明易し
- 明け易の源流近き木曽泊り
- 短夜の直ぐ暗闇に峡の村
- 明易し鼻毛耳毛のまた伸びる
- 宮城県 福田良光
- 寝過ぎたと慌てふためく明早し
- バイク来て朝刊届く明易し
- 破障子幽かに浮かび明易し
- 短夜や不気味に座る縫いぐるみ
- 短夜やぼんやり壁にごっつんこ
- 岐阜県 金子加行
- 短夜や人にさよなら言ひ易き
- 短夜や昼の続きし酒の利く
- 短夜や男独りの泣き足らず
- 短夜や客人のなほ続く家
- 短夜や人生決まる試験来し
- 愛媛県 加島一善
- 短夜や一夜で消せぬ君の声
- 短夜や清盛招く音戸の陽
- 短夜や欠伸うつりて大笑い
- 短夜の夜更けに星を探しけり
- 短夜や歩き参りの御寺増え
- 神奈川県 入江雅子
- 念ずれば灯明に母短夜か
- 赤いベベ兵児帯ふわり短夜か
- 短夜にキャッキャッと童は夢の中
- 短夜か笑顔と眠気親も子も
- ぼんやりと灯明揺らり短夜か
- 東京都 佐藤博重
- テレビよりラヂオが好けれ明易き
- 短夜のイヤホーン外す深夜便
- 短夜やカーテン白む鳥のこゑ
- 大阪府 金成愛
- 短夜や開きしままの弁証法
- 東京都 鈴木良子
- 夫野球妻は相撲やみじかい夜
- マンションの車出払ひ明け易し
- 世界地図広げしままや明け易し
- 短夜や早番勤め日も遠し
- 締切日迫る句案や明けやすし
- 千葉県 新津さとい
- 短夜や消しかす残るダイニング
- 短夜や切子のグラスに残る水
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 短夜や 朝まで呑んだ 三時間
- 不眠症 あっという間に 朝が来る
- プラネタリウム 君の知らない 物語
- 短夜や 歩けよ乙女 恋の味
- as the moon, so beauti
- 埼玉県 岸保宏
- 短夜や早くも白む揺れた朝
- 短夜や法事の母屋深として
- 短夜や休む暇なし車椅子
- 東京都 内藤羊皐
- 短夜や産湯の如く湯浴みせり
- 短夜の空き缶路に響きたり
- 明易や水の匂へる海鼠壁
- 短夜の張り子の犬の影の濃き
- 蔵町の灯の消え返へて明易し
- 埼玉県 飯塚璋
- 短夜や高速道路混みあへり
- 神奈川県 白銀
- 短夜では 今宵の愛を 時代思う
- 短夜から 月欠けの日 軌道する
- 新月の 短夜で道し るべの里
- 短夜いわく 天寿を祝う 舞踏会
- 短夜にて 君をまとうに ドレス服
- 神奈川県 伊藤欣次
- 明易しアフターテニスの宴張れば
- 短夜や夢路を阻む小用立ち
- 短夜のBBQ盛(さか)るメルボルン
- 短夜にタブレで一句ひねりだそ
- 短夜や想ひの竹の伸び騒ぎ
- 東京都 岩崎美範
- 短夜や濃いめに淹れるモカマタリ
- 明易の鶏に目覚むる鄙の宿
- 水槽の亀に餌やる短夜かな
- 厨からくさやの匂ひ明易し
- ぼてふりの声する路地や明易き
- 岡山県 岸野洋介
- 短夜であること忘れ旅の宿
- 短夜の夢に亡き妻笑みており
- 短夜を朝日差し込むまで眠り
- パソコンに挑む短夜でる欠伸
- 短夜や街に猪でた話
- 神奈川県 塚本治彦
- 短夜や疲れのぬけぬ老教諭
- 短夜や一晩もたぬ鎮痛剤
- 短夜や馬立ったまま眠りをり
- 短夜や介護疲れの浅き夢
- 短夜や老の眠りの覚めやすき
- 神奈川県 井手浩堂
- 短夜の明け方の夢浅きかな
- 短夜のいたずら電話ベル一度
- 短夜の雀の声に明けにけり
- 短夜の遠き嶺より明けにけり
- 短夜や夫婦で入れと宿の風呂
- 東京都 たなかちか
- 短夜や生けつつも花萎れたる
- 短夜の手帳の黒きページあり
- 短夜やモヒート作る吾のために
- 短夜や娘ら集い母のこと
- 短夜や枕のそばに閉じる本
- 東京都 坂田誠太郎
- 短夜や旅の枕の波の音
- 短夜や床の間にある山水画
- 短夜や仏の宿に眠りけり
- 短夜や人皆消えて主のみ
- 短夜や他家の仏間の薄明かり
- 兵庫県 さくやこのはな
- 短夜の起きて惑いし妻の座に
- 短夜やレモンかじりて読破する
- 神奈川県 原川泉水
- 短夜の夢の白馬白き朝
- せせらぎや障子にひびき明け急ぐ
- 短夜や谷川颪か川面風x
- 短夜の目覚めを誘う湯のかおり
- 短夜や夢追いつつも朝の風
- 長野県 木原登
- 短夜を早やも読経の善光寺
- 明易の足湯に人のをりにけり
- 短夜の闇の中より妣の声
- 海は海かもめはかもめ明易し
- アルプスは雲のまほろば明易し
- 東京都 松丸禎二
- 公転の いたずら短夜 二人割く
- 短夜や できない辛さ 朝寝坊
- 短夜や 経済活性 サマータイム
- 短夜や 鳥の囀り 早よ起きな
- 恋仲や 短夜寂し 朝早し
- 千葉県 伊藤博康
- 短夜や草の匂ひの濃くなりて
- 明易の足取り重く出勤す
- 短夜や足踏みしたるエピローグ
- 神奈川県 守安雄介
- 短夜やはや釣り船の岸離る
- 隣国の首班の決まる短夜かな
- 子と飲めばたった二升の短夜かな
- 短夜かな自転の早さ変わらぬに
- 昨日から夫の在宅短夜かな
- 京都府 欲句歩
- 思いの丈既読の儘に消す短夜
- 短夜や生れ変りに出逢うやも
- 短夜の〆の暖簾の人盛り
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 短夜の夢にキリンの崖に立つ
- 短夜や庭にうるさき鳥の待つ
- 短夜や大きくしゃみに起こさるる
- 兵庫県 岸野孝彦
- 短夜と呟く息の深さかな
- 短夜や海月を濡らす雨の音
- メトロから短夜抜けて未来都市
- 短夜や老いぼれて初恋の夢
- 短夜や棒道行けば左千夫の碑
- 東京都 腹胃 壮
- 短夜の腹筋割るる男女かな
- 短夜の郵便受けの鳴りにけり
- ゴミ出しのホストクラブや明易し
- 短夜の白き太腿露はなり
- 短夜の使はぬ枕しまひけり
- 滋賀県 了庵
- 短夜の開きしままの文庫本
- 短夜の書いてまた消す遺言書
- 短夜の湾に横たふ豪華船
- 短夜の白紙のごとく明けにけり
- 短夜を家へ一駅歩きけり
- 熊本県 貝田ひでを
- グランドに朝練の声明易し
- コンビニに食品補給車明易し
- 父すでに畑に動く明易し
- 東京都 穂坂俊一
- 朋友ありてやがて独りの暮早し
- 短日や香りの揺らぐ茶舘かな
- 暮れ早し夜市屋台の灯りかな
- 短日や紅いルージュの急ぎ足
- 短日や小籠包の温かさ
- 宮城県 林田正光
- 短夜の浮橋渡り空明ける
- 短夜をさらに短く長電話
- 短夜の断捨離ちょうど終了す
- 短夜に耐えて早朝歯医者さん
- 短夜や夢も短編小説に
- 三重県 平谷富之
- 君といる 更に短夜 感じられ
- 短夜を クロスワードで 過ごしけり
- 愛知県 斉藤浩美
- 豆腐屋の引き売り準備明易し
- ゲラ刷りに朱を入れおれば明易し
- 花鋏使う音して明易し
- 鴉もう地上歩きて明易し
- 飯場には飯炊く匂い明易し
- 山口県 山縣敏夫
- 冷や汗の染み込む枕明易し
- 初孫の泣き声響く明早し
- 明急ぐ候寝不足となりにけり
- フルムーン湖畔の宿の明易し
- 短夜に朝刊配るバイク音
- 東京都 武藤隆司
- 短夜の香煙堂を漏れ来る
- 短夜の女と犬の立つ玻塘
- 短夜の酒狂の人と擦れ違ふ
- 短夜の何処ともなく鳥の声
- 短夜の通夜をもがりとして過ごす
- 東京都 右田俊郎
- 看護師の起床告げ行く短き夜
- 短夜や太平洋をゆく巨船
- 短夜や推理小説大団円
- 独房の窓の格子や明け易し
- 短夜や異国の空へ一番機
- 神奈川県 北島和弘
- 短夜の味付け海苔の几帳面
- 山形県 斎藤博
- 短夜や我が老いし身を追いつめる
- 明易しコブラ返りに起き上がる
- 短夜の眠気抑えて書に耽り
- 短夜や我が行く末をさ迷いし
- 短夜の我パソコンににのめり込む
- 神奈川県 花恋
- 短夜や光の帯の絡まりて
- 淋しさも短夜明ければにぎやかに
- 短夜に泣かぬと決めた君の愛
- 背の汗に涼しさを待つ短夜かな
- 短夜に生きる証しを操りて
- 兵庫県 山地美智子
- 短夜のどうにもならぬ不整脈
- 短夜の進まぬものに死仕度
- 短夜の夫の鼾のつつがなし
- 短夜の誰にも言えぬ悔い一つ
- 短夜の祖母を眠らす子守歌
- 東京都 土田明人
- 短夜や水平線は縹色
- 霊峰へ継ぐ苔の道明易し
- 短夜や杉の指したる白き空
- 短夜の潮さい匂うふたり宿
- 短夜や柱状節理光る海
- 北海道 吉岡 亨徹
- 短夜や心の病の為ならず
- 短夜の匂い遠き日呼び戻し
- 短夜に癇癪起こす泥棒猫
- 短夜の傍題なのかサマータイム
- 仕事明け薄紫の夏の朝
- 群馬県 大澤十八番
- 短夜や新聞配達来し気配
- 短夜のラジオ株式市況かな
- 短夜や階下に長電話の小声
- 短夜のベンチ背中のきしむ音
- 短夜の夢階を踏み外す
- 神奈川県 猪狩千次郎
- 短夜や廃墟の壁の煤蒼く
- 短夜や釣糸からむ磯の松
- 短夜や軒をあらそふ鳥の声
- 短夜や湯葉汲む箸の長きこと
- 寺多き旧東海道や明けやすし
- 奈良県 平松洋子
- 短夜や露店の電球未だ消えず
- 短夜や米研ぐことも忘れして
- 短夜や社交辞令の朝がくる
- 滋賀県 村田紀子
- 旧友と話題が尽きぬ短夜かな
- 短夜の物干しざおに舞う晴着
- 短夜や遊び疲れた子の寝息
- 短夜に饂飩をすする道半ば
- 短夜や貨物列車が夢はこぶ
- 神奈川県 佐々木 光野(みつや)
- 短夜や段取りつかず遊び行く
- 短夜や昨日ははるか前のこと
- 短夜に句作の案の少なかり
- 短夜や夢観ることの多かりき
- 本読むも捗らざりや夜短し
- 三重県 後藤允孝
- 明易し起床促す鳥の声
- 短夜やさざ波遊ぶ船溜まり
- 短夜や浅き眠りの旅の宿
- 短夜の思い出せなき夢ひとつ
- 短夜や祖母の寝息を確かむる
- 神奈川県 矢神輝昭
- 短夜や何をあくせく地虫這ふ
- 短夜や漬物石の深眠り
- 短夜に時もて余ましメール打つ
- 短夜や新聞今かと待ちあぐむ
- 短夜や蠢く音の多かりき
- 奈良県 一人坊
- 短夜に 夢、追い走る 親の影
- 短夜も 目覚めてみるも 明けぬ夜
- ブラジル 西山ひろ子
- 中古車のエンジンの音明易し
- 短夜の静かな寝息に整いぬ
- 短夜の夢に日伯行き戻り
- 短夜の声立て笑う夫の夢
- 故郷の夢に束の間明易き
- 滋賀県 正庵
- 短夜の夜具はねのけて海の宿
- 鳥の声バイクの音や明易し
- 徘徊かウオーキングか明易し
- 明易や阿弥陀堂より正信偈
- 田廻りの水の匂ひや明易し
- 神奈川県 龍野ひろし
- 短夜の汽笛鋭き寄港船
- 短夜のワインで祝ふ誕生日
- 埼玉県 よしこ
- 短夜の転がしてゐる眠りかな
- 短夜の夢は再び叶はざり
- 句作りの更に縮まる短夜かな
- 短夜や眠れることも良しとして
- 短夜の体内時計狂ひなし
- 福岡県 たこ
- 短夜や わずかに動く 栞紐
- 短夜を 広げて咲きし 花火かな
- 短夜や 蒼き切子と ビートルズ
- 短夜の カーテン越しの 流れ星
- 短夜や ただ一行の 便りかな
- 岩手県 天晴 鈍ぞ孤
- 短夜や生まれし時の味がする
- 短夜や日高見の墓苔生して
- 短夜や母の目覚めは徘徊
- ブラジル 林とみ代
- 短夜のクルーズ賑はふルーレット
- 短夜の国に別れを惜しみけり
- 短夜やオスロの空は白々と
- 短夜の湖畔を巡る旅の空
- 短夜や北極近き旅の宿
- 大阪府 津田明美
- 短夜に向けて列車の発車ベル
- 短夜の夢の続きを惜しみをり
- 短夜や友の愚痴聞きしらしらと
- 短夜の雨だれ穿つ手水鉢
- 短夜の朝刊バサと落ちにけり
- 北海道 飯沼勇一
- 短夜や羊の数は増え続く
- 短夜や妻ため息と寝返りと
- 短夜を貧乏神と明かしたり
- 格別の短夜老ひを深めける
- 三重県 遊眠
- 短夜やそれからのこと語られず
- 短夜や起承転結ありし夢
- 短夜や夢書き留むる俳句帳
- 島根県 湧雲文月
- 飴玉をゆつくり溶かす短夜かな
- 短夜に君と別れし余韻無き
- デミダスに珈琲を飲む短夜かな
- 短夜やガムシロップの揺らめきて
- 明け易しカーテンの隙間に見ゆ陽
- 東京都 かつこ
- 短夜や判定負けのボクシング
- 短夜の目覚めて続く夢を見る
- 東京都 豊宣光
- 短夜を惜しむ二人の逢瀬かな
- 短夜や仕込み早まる豆腐店
- 短夜を知らぬ読書となりにけり
- 短夜やカーテンの影白く揺れ
- 短夜や始発電車の音近し
- 栃木県 足立純一
- 短夜の上り電車と家路人
- 姿見に睡魔が嗤う短夜かな
- 短夜に月陰るのか後髪
- 京都府 新井ゆかり
- 空と海短夜明かすひとり旅
- あかねさす君恋う短夜思い染め
- 短夜や惑う心に朝は来る
- 愛媛県 渡邊國夫
- 明早し明日はいづくへ古都泊り
- 特注の豆腐作りや明急ぐ
- 短夜の深みにはまる調べもの
- 単身の島の暮しや明易し
- 格闘の漢字パズルや明易し
- 神奈川県 成田あつ子
- 短夜の叱咤はやさし夢の父
- 短夜やはや下駄音の旅の宿
- 短夜の待ち針光る生絹かな
- 明易し湯殿にはやも桶の音
- 短夜や栞はさみしミステリィ
- 神奈川県 石鎚 優
- 短夜や遺愛の杖の淡き影
- 短夜や愛(かな)しき寝息ありやなし
- 短夜や常ならず飛ぶ軍用機
- 短夜や埴輪の人馬のやさしき目
- 短夜や末期の笑みのしづかなる
- 神奈川県 シュリ
- 雨垂れを数えて旅路の短夜かな
- 短夜や水簾の音薫き染めて
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 寝そびれて昔語りや明易し
- 短夜のホテルにて聞く救急車
- 花稽古終へ短夜のギムレット
- 短夜や隣家に献ず枕花
- 短夜の図書返却口へ葉擦れ
- 東京都 早川高典
- みじかよやアボリジニーのホームレス
- かれおもふ短き夜や寝苦しき
- 短夜や酔いつぶれてる父笑顔
- 愛知県 新美達夫
- 朝刊の四、五分遅れ明易
- 突堤に急ぐ釣り人明易
- 短夜のうすうす夢と知つて酔ふ
- 東京都 住澤義英
- 短夜に吉夢で起きる旅の宿
- 短夜や焦る心に明けの鐘
- 青き日の淡い恋夢みじか夜に
- 短夜や怖さに目覚め川下り
- 短夜や羊数えし100飛ばす
- 千葉県 隼人
- 明易や露天湯に入る旅の朝
- 明易や眠気を醒ます道の駅
- 短夜や朝餉ののちのひと眠り
- 岐阜県 蛙田 環
- 短夜やページをめくる音静か
- 短夜や職場で欠伸夜学生
- 短夜や昭和の歌をくちずさみ
- 短夜やお囃子のない落語会
- 石川県 ―(荒野欣子)
- 短夜に遅寝早起き身が持たぬ
- 短夜や朝餉の支度目をこすり
- 福岡県 西山勝男
- 嫁ぐ子と話尽きなし夜短し
- 短夜や竹馬の友は疾うに逝き
- 船宿の釣果の夢や夜短し
- 推敲の弔句は遅々と夜短し
- ブラジル 広田ユキ
- 久闊の友との一夜明易し
- 短夜の夢や故郷に母は亡く
- 短夜や時計の鳩がまた鳴きし
- 短夜や潮騒高き海の荘
- 短夜の夢の続きはまた明日に
- 東京都 武蔵野次郎
- 短夜や代萩茂る帰り道
- 東京都 重兵衛
- 明易し大草原に白き包(パオ)
- 地の果てといわれる岬明易し
- 終着の銀河鉄道明易し
- 明易や父の作りし握り飯
- 明易や声掛け集ふ部活の子
- 大阪府 椋本望生
- 短夜の亀に有らねど喉仏
- 短夜の紙縒で触るる猫の髭
- 母さんの待る厠や明易き
- 短夜とマウスとルーペ小宇宙
- 短夜にあさきゆめみしゑひもせす
- 東京都 岩川容子
- 明易し規則正しい靴の音
- 短夜に別れ惜しみて終電車
- 短夜や先にすすまぬ哲学書
- 短夜や墓地買う話まとまらず
- 埼玉県 守田修治
- 明易しいまみずうみは鏡なす
- 病む妻に北窓明けて明易し
- 短夜や影絵のような針仕事
- 応えあう星の会話の明易し
- 短夜や遅ればせなる水滸伝
- 東京都 伊藤はな
- 産声の耳を離さじ短夜かな
- 一病を得てなお短夜楽しめり
- 短夜や針目もあらく布巾縫ふ
- 短夜の刻を捉まへ本の旅
- 短夜を音をおさへて流行歌
- 大阪府 永田
- 短夜や仏語活用呪文めき
- 短夜や九九の「五」の段覚えたて
- 千葉県 横井隆和
- ・短夜も長夜も永久に乞う平和
- ・明早し湯に入り向う阿蘇五岳
- ・短夜の栞もままに愛読書
- ・明走る潮引くがごとビルの影
- ブラジル 玉田千代美
- 短夜に口説き電話やいらだちぬ
- 短夜や他人の世まで考えて
- 短夜に洋人形に和服着せ
- 短夜に手のひらに書く明日のメモ
- 神奈川県 海野優
- 短夜や語りつくせぬ望みごと
- 短夜の九九諳んじて寝もやらず
- 短夜に眠りもやらぬ旅の宿
- 岐阜県 ときめき人
- サーカスの眠れぬ小象短夜ぞ
- 神奈川県 川島妄児
- 短夜の駅灯おとす終列車
- 短夜や点滴刻むICU
- 眼鏡して母針仕事明け易し
- 明易し朝刊配る郵便屋
- 短夜や夢の続きの繋がらず
- 大阪府 太田紀子
- 短夜や断捨離終へし部屋の中
- 短夜や抜け毛の色は真白なり
- 短夜や亡夫の写真の薄埃
- 高知県 河野佑芽
- 短夜のピアスバスタブに沈む
- 短夜や昔好きだったよと溢す
- 東京都 碩真由美
- 短夜や西へ西へと寝台車
- 東京都 中田ちこう
- 明けはやし陽は十五度のウォーキング
- 明けいそぐ藍鼠の波鵜の頭
- 東京都 紫帳
- 短夜や 解決策の 出ず終(じま)い
- 短夜や しじまの澱む 暇もなし
- 短夜や 数える羊 七掛けで
- 東京都 紫闇
- 短夜や てるてる坊主 吊り直す
- 短夜もう 朝刊配る バイク音
- 短夜や 相談事の 切り出せず
- 東京都 宵紫
- 短夜や 手持ち無沙汰な 休肝日
- 短夜や 数独難問 解けぬまま
- 短夜は 清酒一升 持て余す
- 福岡県 田中由美子
- 短夜に旅の枕はおさまらず
- 短夜の旅は天使をみちづれに
- 短夜をつないで奥の細道へ
- 短夜の夫の寝言に詫びてみる
- 神奈川県 パラレル
- 短夜に別れ話を済ませをり
- 短夜に母の怒りはおさまらず
- 兵庫県 山崎衣玖
- 短夜や隣の夜具へ吾子の足
- 短夜やネバーランドの星探し
- 短夜やオセロの勝ちを譲りけり
- 白湯含みまた短夜の添寝へと
- 短夜を裂く様に泣く嬰児かな
- 千葉県 悠理
- 短夜や靴底薄くなりて駅
- 宿坊の低き異国語明易し
- 短夜の耳の奥なる水の音
- 埼玉県 哲庵
- 明易や恋文五度も書き直し
- 短夜や校正三度初句集
- 短夜や締め切り過ぎし稿の嵩
- 短夜や遺書の代筆頼まれて
- 短夜や葬儀の仕方決めかねて
- 千葉県 みやこまる
- 短夜やあさきゆめみし旅まくら
- 短夜の忍び入りたる無双窓
- 旅先の朝餉の匂ひ明易し
- 兵庫県 ぐずみ
- 短夜や酒もたばこもそれなりに
- 短夜に雨音のして暁烏
- 短夜を〆て最終電車ゆく
- 短夜の夢は沙翁にまかせたり
- 短夜をダウと外貨の解説書
- 福島県 いらくさ
- 短夜や手紙でそこのセリフ言う
- 過去形の短編小説明易し
- 新聞の音聞こえたり夜のつまり
- 悩むこと短くて良し短夜の
- 明急ぐカップボードの透過光
- 神奈川県 髙梨裕
- 短夜やランタンの灯の恋しかり
- 短夜や山の駅舎の灯のひとつ
- 短夜の明けの真水に目覚めけり
- 短夜の怒るがごとく泣く子かな
- 短夜のまだ覚めやらぬ二本足
- 京都府 中村 万年青
- みじか夜や雀のさえずり美しく
- 短夜や深夜ラジオの終り告げ
- 短夜の新聞受けの音高し