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- 俳句庵 2017年02月 優秀賞発表
- 俳句庵 2017年02月 作品一覧
俳句庵
2月『梅』全応募作品
(敬称略)
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 鴎立つ水の青さや今朝の春
- 宮城県 石川初子
- 梅の香やひと日優しさまといたり
- 愛知県 岩田遊泉
- 健脚と言ふも殿梅探る
- 蝋梅のとろけ出しそう庫裡の縁
- 蝋梅や陽の燦々と長屋門
- 白梅を過ぎて紅梅優しかり
- 氏神の天神様や梅二輪
- 神奈川県 守安雄介
- 梅が香や三年二組黒光
- 爺が描き孫が紅注す臥竜梅
- 臥龍梅画竜点睛幹の二花
- 笠雲と梅の間の真白富士
- 補聴器も拾えぬ音し梅開く
- 新潟県 近藤博
- 手折り来て梅一輪を夕餉卓
- 花期はやもちらほら笑むか梅の花
- 庭一樹老梅なれど咲きそむる
- 梅が香や手もて掻き寄せ嗅ぎにけり
- 梅咲きて花も佳かれど香りまた
- 岐阜県 金子加行
- 梅の里獣害防ぐ柵の内
- 人に似し決意のあるや固き梅
- 新しき恋始まるや梅の下
- 幾百の梅の木担ふ村おこし
- 梅三分郵便箱によき報せ
- 千葉県 柊二
- 花嫁の列にかざして枝の梅
- 神奈川県 佐藤博一
- 梅一輪こころの隅に灯を点す
- 日々務め日々新しく梅の花
- 神の梅あまたの願ひ結ばれて
- 梅の花闇にふくらみありにけり
- 梅仰ぐこころに詩の浮かぶまで
- 神奈川県 入江雅子
- 梅かおるいにしえ辿り哀しくも
- 梅の香折れし心を労りて
- 優しさか梅一輪に謝のこころ
- 天守閣梅のかおりか古の
- 母の梅優しくかおり涙かな
- 千葉県 鎌田敬一郎
- 還暦の 手習い始め 好文木
- 手をとめて 香に誘われし われは鶯
- われ待ちぬ 早く咲けよと 花の兄なら
- 木漏れ日に 背を伸ばしたる 冬の梅
- いつまでも 咲けよ古木の 母の梅
- 大阪府 金成愛
- 梅が香をつもらすぼんのくぼにキス
- 梅三分寿蔵のこととつれのこと
- 愛媛県 渡邊國夫
- 老梅に偲ぶ町家のくらしぶり
- 梅が香や菅公御座す社より
- 痛む膝かばひて巡る梅の園
- 天正の戦場なりや梅二月
- 石垣はかすがひ積や梅真白
- 長野県 木原登
- 母が名はうめのや即ち梅が好き
- 樹齢三〇〇樹根隆々臥龍梅
- 予備校へ吾子の旅立つ梅の花
- 咲きそめし梅に果して今日も雪
- 爺逝きて盆梅われに戻りけり
- 神奈川県 河野肇
- 浮雲や父母を訪ふ梅の里
- まみどりの子蛙跳ぶや梅の花
- 探梅や山を下れば相模灘
- 山村に餅つく音や梅の花
- 浮雲に見とれし日々や梅の花
- 兵庫県 紫 桔梗
- 枝垂梅堀の水面に着くほどに
- 梅の香も絵筆にのせて描きけり
- 二階から今年も隣の梅愛でる
- 境内に紅白梅の競ひ咲く
- 梅咲ひて単身赴任終へるころ
- 岡山県 八木 五十三
- 絵馬並ぶ社の梅に蕾かな
- 梅の香の如く娘の親離れ
- 子離れを梅一輪に問ひかけり
- 梅の香を母に伝へて親離れ
- 梅咲きて二人きりなる畳の間
- 福岡県 西山勝男
- 国東の名刹めぐる梅日和
- 句碑の辺の梅の香ほのと朱鳥の忌
- 梅が香や滔天生家開け放っ
- 梅園の旧家をさぐる梅日和
- 烈公の治世ひもとく梅匂う
- 滋賀県 了庵
- 夕空へ梅のつぼみの枝走る
- 梅林に夕日真っ直ぐ届きけり
- 税金の少し戻りて梅ふふむ
- 梅匂ひますと梅の間に通さるる
- 塵焼いて白梅の空汚しけり
- 静岡県 長田友子
- お手玉のひいふみいよ梅ふふむ
- どの道を行くも梅の香曽我の里
- ほんのりと梅の社の常夜燈
- 梅咲くやハミングで読む音符句碑
- 梵鐘の古るき緑青梅ふふむ
- 神奈川県 猪狩 千次郎
- 流鏑馬の鞍に手向くや梅の花
- 東京都 岩崎美範
- 忘れじと東風に吹かれて梅匂ふ
- 復興の風に吹かれて梅ひらく
- 誰挿すや無人の駅の梅一枝
- 宮城県 林田正光
- 咲き初めし何を囁く梅の花
- 梅林を歩くデニムの家族連れ
- 盆梅の小さな宇宙手のひらに
- 老梅や無住の寺を守りをり
- 桜より梅に願いを託したし
- 京都府 欲句歩
- 梅の里無人の駅の切符受け
- 梅まつり来て良かったと杖の音
- 梅の花趣味の小物の並ぶ店
- 野面積灯籠二つ梅香る
- 東京都 内藤羊皐
- 紅梅や社へつづく甃
- 喪の家を紅梅香る夕かな
- 乳母車仔犬貌出す梅日和
- 白梅や昼月宿す潦
- 白梅や姉が妊婦になるといふ
- 神奈川県 白銀
- 梅の木 庭先に生え いきいきと
- 梅干しの ちょっぴりした 恋心
- 梅松に 鶯鳴くよ 春先で
- 梅毒 病に侵され あたふたや
- 神奈川県 白銀
- 梅もどき 柔和な心 刹那と和歌
- ブラジル 西山ひろ子
- 梅一輪一筆書きの墨絵かな
- 梅の香の匂ひ袋に寧ぎぬ
- 梅の香や歴史を紡ぐお線香
- 東京都 住澤義英
- 梅林に際立つ一輪亡父の顔
- 梅うるむ競って咲いて日の出待つ
- 幼子が梅に届や親の手と
- 青空にメジロがはしゃぐ梅の里
- 息留めて鳥声聴き入る梅小路
- 神奈川県 井手浩堂
- そこまでと娘を送る夜の梅
- 一本の梅の香りの中に入る
- 電車より短いホーム梅香る
- 渓流の音に沿ひゆく梅日和
- 吟行のいつか床几に梅見酒
- 滋賀県 中島光汰朗
- 寒梅や正座が楽と僧の言ふ
- 無住寺に灯ともす門徒梅の花
- 白梅や昔女優のわび住まひ
- 真青なる湖北の空や梅二月
- 寒梅や雲水凛として素足
- 熊本県 貝田ひでを
- 白梅のけふ一輪の日差しかな
- 園児らの太鼓マーチや梅日和
- 湯気の立つものよく売れて梅の苑
- この頃の気違ひ陽気梅盛り
- 神奈川県 芳浪
- 寒過ぎて梅にたずねる春は何処
- 梅の香をひゅっと吸い込み鼻に冷たく
- 梅匂ふ風に押されて早歩き
- 梅ひらき滴り落ちる紅の花びら
- 糸切れた凧を見上げて梅ふふむ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 梅狩りや二つ三角梅むすび
- 紅梅や翠の堀に紅き夢
- 潮騒や想いは重き花の兄
- 海遥か二万本の梅見かな
- お四国の菅笠飾る梅の花
- 千葉県 みやこまる
- 梅一輪主(あるじ)への風待ちにけり
- 残り香を闇に散りばめ梅の花
- 仏像の手に水掻きと梅の香と
- 言の葉に代へ梅の香を献上す
- 梅咲きて終の栖となりにけり
- 神奈川県 下嶋恵樹
- 梅の香や鎌倉行きの足軽し
- 東京都 岩崎美範
- 丑年の丑の日生れ梅真白
- 道真の果てし処や梅真白
- 三重県 平谷富之
- 梅の香よ届けよ届け病む母に
- 梅の傘上に広がる青き空
- 大阪府 森村冨美
- 風吹きて髪に梅香残しゆく
- 夫のあと遅れぬやうに梅めづる
- 滋賀県 村田紀子
- 白梅を見上げ語らう老い二人
- 梅一輪手にして跳ねる赤い靴
- 梅の香に誘われ迷う小路かな
- アメリカに梅はあるかと亡き人に
- 子の便り梅と私が踊ってる
- 東京都 坂田誠太郎
- 梅の花咲き上りたる急斜面
- 梅の坂便り手にして郵便夫
- 枝引いて梅の香りを確かむる
- 紅梅の蕊金色に匂ふごと
- 男坂上り境内梅盛り
- 千葉県 伊藤博康
- 大声を慎むごとく梅ひらく
- すでにして梅を愛でたる童かな
- 岡山県 岸野洋介
- 山国の友は梅見ず海眺め
- 亡き妻の植えし梅咲き気をもらい
- 梅の山仰ぎて腰を伸ばしけり
- 中天に昼月淡し梅の花
- 道真の腰掛岩や梅匂う
- 大阪府 津田明美
- 梅の香の社の闇の広がりぬ
- 梅の香や天地百歩の外になし
- 老梅の枝隆起して時滲む
- 古の時の移ろい梅香る
- 梅が枝の百相こぞる香りかな
- 福岡県 たこ
- 梅林に 匂いつつまれ 老い二人
- 合格を 祈りて北野の 梅を見る
- 信楽に 今年も咲いた 祖母の梅
- 梅の香を ポッケに入れる 帰り道
- 冬天に 耐えて咲かん 梅一輪
- 山形県 斎藤ひろし
- 梅蕾みぞれの中に顔を出し
- 梅咲いて塀越しにみる我が家かな
- 病臥に臥す我が身重ねし老梅に
- 我が家の古梅にみたり母の影
- 主なき家に咲くや梅寒し
- 静岡県 城内幸江
- 蘊蓄の止まらぬふたり枝垂れ梅
- 訳ありて通るこの道夜の梅
- 花壺の水清らかに梅の花
- 小料理や銘酒の揃い梅の花
- 白梅や初孫高く上げる父
- 三重県 遊眠
- 切通し抜けて梅が香深まれり
- 蒼天を螺鈿となして梅光る
- 天目を満たす濃茶や梅白し
- 梅が香に合格祈る古刹かな
- 潮騒の駅のホームや梅暮るる
- 神奈川県 塚本治彦
- そこここの津波の痕の野梅かな
- 散骨はここと決めたる野梅かな
- 江ノ電に沿うて歩きぬ梅日和
- ハミングや梅の香の外厨
- 梅の香の車椅子まで届きけり
- 愛知県 佐藤三郎
- 白梅や花綻びて庭清め
- 老梅や幹を寝かせて陽を迎え
- 梅咲いて偲ぶ太宰府天満宮
- 埼玉県 櫻井 玄次郎
- 梅一輪客をもてなす亭主かな
- 東京都 豊宣光
- 梅の香や合格祈る絵馬並ぶ
- 職人は梅花に似せて餅をこね
- 一本の紅梅活けて四畳半
- 坪庭に臘梅香る町家かな
- 梅の花移ろふ季節運びくる
- 奈良県 一人坊
- 梅訪ね 氏神様は 幾年や
- 進学に ランドセル跳ね 蕾む梅
- 歩を休め ほのかに香る 梅を見て
- 紅梅も 遠慮なく咲き 白梅町
- 淡き香や 梅林小屋も 鬼は外
- 東京都 一軒
- あてやかな万朶の梅よ君の忌よ
- ははそばのははの遺愛の梅かをる
- 梅東風の吹けば優しき人逝けり
- 神奈川県 矢神輝昭
- まだ咲かぬ隣家の梅に気を温め
- もてなしはけな気を装ふ門(かど)の梅
- 動かじと片意地張りて梅の花
- 長屋門主偲ばる梅の花
- 梅待つは水平線の日の出かな
- 奈良県 平松洋子
- 紅梅や頰の紅よりなお紅し
- 梅満ちて娘の神籤結びたり
- しだれ梅一輪咲く日就職す
- 東京都 右田俊郎
- 梅ふふむこの子もうすぐ一年生
- 陽を浴びて翁ふたりの梅談義
- 梅愛でる祖母の手を引く幼き子
- 梅が香に誘はるままに町巡り
- 盆梅や近江の古き漬物屋
- 神奈川県 龍野ひろし
- 梅林の緩き起伏を抜けて行き
- 埼玉県 琴吹痴庵
- 梅ふふむ花芽に夢を抱きつつ
- 床の間に梅一輪の演技力
- 梅ふふむ双子の孫の寝顔かな
- 梅林へ人の気配を消して入る
- 天守閣借景にして枝垂梅
- 岐阜県 蛙田 環
- 盆梅の幹に魅せられ息を呑み
- 散る梅も香り残すや薬師堂
- 風しずか朗報待ちて梅ひらく
- 梅が香をひとみ口元褒めたたへ
- 朗報に無人駅舎の梅ひらく
- 三重県 後藤允孝
- 梅林の色整ひし香に浸る
- 紅梅の色は青空奪ひあひ
- 一片ごと日の差し入りし梅の花
- 茶会席梅一輪はひつそりと
- 大吉の神籤結びし宮の梅
- 大阪府 椋本望生
- セルカ棒にポーズ決めたる梅の紅
- 飛梅に駆け寄る米寿追ふ卒寿
- 中天に吸ひ込まれさう梅の白
- 日本海に佇つ梅の陽梅の道
- 飛梅や一番星を侍らせて
- 千葉県 伊藤和幸
- 梅の香にひかれ寄り道廻り道
- 探梅やうめより先に地酒の香
- 富山県 岡野満
- 白梅の仄かに香る闇夜かな
- 梅林を抜けて開ける富士の峰
- 心地よき疲れを残し梅見かな
- 梅咲いて紅白の風生まれけり
- 紅白の風にそよぐや梅の花
- 千葉県 横井隆和
- ・移り香の梅よ鏡に帯を解く
- ・便り聞き待てず点てたり梅昆布茶
- ・待つほどに待つを楽しむ梅日和
- ・忍ばせるマスクへ梅の一・二輪
- 埼玉県 よしこ
- 梅咲きて青空小さく穴あけり
- 梅三分抱つこで見るは親子かな
- ひとりごとやつと二輪の梅の花
- 梅咲きて笑みの中より里訛り
- 梅の香や空き家の辺り漂うて
- 埼玉県 西村小市
- 紅梅の陰白梅は光吸う
- 自由という鎖を解きて梅咲きぬ
- 星雲の指示受け梅のほころびぬ
- バカボンの親父のごとくひらく梅
- 切られて切られて切られて梅の咲く
- 神奈川県 髙橋榮一
- 梅に立ち白富士眺む爺と婆
- 爺ちゃんと孫が見上げる梅の花
- 当然か自然小輪梅こぼる
- 枝垂梅句会を待ちてひらきけり
- さきがけし梅を囲みし莟かな
- 京都府 村田高久
- 露地の香や見越に梅の見つけたり
- 天神を少し離れて梅の咲く
- 梅の香や上七軒を漂えり
- 紅梅やいやじゃいやじゃと散りにけり
- 天神で矢立て買いしや梅の花
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 理科室のフラスコに挿す梅二輪
- 石段を登る青空梅の花
- 光琳の梅かと思ふ緋色かな
- 乳母車紅梅の坂下りて行く
- 紅梅の空切り裂くや戦闘機
- ブラジル 林とみ代
- 梅の香を纏ひて逝きし母偲ぶ
- 梅の花被ふわが里紀伊の国
- 探梅の列に加はる一日かな
- 梅の香に誘ひだされて園巡る
- 一服す梅の花びら舞ふ野道
- 京都府 渋谷真由子
- 梅東風や門前に売るあぶり餅
- 野仏の微笑もらひ梅ふふむ
- 紅梅やかって街道分かれの碑
- 東京都 伊藤訓花
- おむすびに梅一輪の愛を添へ
- 梅の花ひとひら流る水ごころ
- 白梅や日暮に仄と灯りをり
- 梅が枝を鳴きて移ろふ鳥の声
- 梅東風の髪の乱れも香しき
- 東京都 長井美佐子
- 梅一輪 紆余曲折の枝に咲き
- 神奈川県 成田あつ子
- 分校は梅の里なり裏高尾
- 梅開く隙間の空の蒼さかな
- 白梅や形見の墨の香りたつ
- ビル狭間小さき稲荷の梅開く
- 紅白に波打つごとく丘の梅
- 岐阜県 ときめき人
- 地歌舞伎の一芸光る梅一輪
- 東京都 佐藤博重
- 早梅や誓子分骨埋塋所
- 梅一輪絵馬に母校の名を読みぬ
- 滋賀県 一斤染乃
- 梅蕾真珠一つを抱きをり
- つぶやきに耳傾けて梅蕾
- 悔恨を一つ捨てたり梅の花
- 北海道 吉岡 亨徹
- 小波の混ぜて離るる月と梅
- 蒼に月秘めたる矜恃の梅に艶
- 風はこぶ梅破れし夢のかほり
- ブラジル 玉田千代美
- 祝ひ事近付く庭に梅の花
- 語らひの声も優しく梅の花
- 秘め事を胸におさめて梅の花
- 梅の花匂ひ懐かし里の庭
- 岡山県 渡辺 牛二
- 奔放に育ち空家の梅の花
- 塀高し中に椿に梅に桃
- 梅東風や二階の窓を開け放ち
- 新潟県 のばら
- 紙芝居従兄弟と梅ジャムとりあって
- 梅一輪甘さを友にひとり旅
- 女学生笑い通るる梅の路地
- 優しき手梅見ゆ我の鼻先に
- 埼玉県 守田修治
- 臥龍梅の意志つぐ力士横綱に
- 探梅や吟行多し根津湯島
- 歩み止め今年の梅の声を聞く
- 船頭が竿で示すや堀の梅
- 梅咲いて混声合唱聞こえけり
- 栃木県 長浜 良
- 紅梅を折れて新居へ案内状
- 麗しき緋袴の人梅真白
- 東京都 中田ちこう
- 融け入りて浮かぶ伽藍や梅暦
- 夜の梅天衣のひだへ香の潮目
- 梅匂ふ襟を色取る梅がさね
- 大阪府 太田紀子
- 娘逝き白梅庭に咲き始め
- 谷川の水音高し梅の花
- 黒猫の爪の白さや梅の花
- 神奈川県 フローラ
- 借景の梅見下ろせる大玻璃戸
- 紅白梅媼翁の立ち姿
- 兵庫県 安東優汰
- 胃と舌と 心さっぱり 梅の粥
- 梅の実が なるころ雨が 降っている
- 種埋める 甘酸っぱい 恋の味
- 梅の酒 大人になるまで 待っている
- たまにくる 梅のおにぎり 食う欲望
- 千葉県 小草
- 雪野原蠟梅独り凛として
- 寒空に蠟梅香り春招く
- 蠟梅の香りかぐわし風の息
- 梅咲きて和靖が鶴の飛び来る
- 花落ちて土に梅香残りける
- 東京都 蘭丸
- 老梅やなかりしことにする話
- 老梅や念を押さるる無縁墓地
- 東京都 岩川容子
- 絵馬百に百の願いや梅ひらく
- 馥郁と濃き香淡き香梅日和り
- 遅咲きの牛久の里に梅咲けり
- 梅が香やわけても今日の紅深き
- 千葉県 隼人
- 喘ぎつつ上る坂道梅日和
- 梅林を走りて燥ぐ吾子二人
- 愛媛県 アリマノミコ
- 白梅や清友と観る朝の庭
- 主おう飛梅ありや大宰府に
- 歩み遅しわが庭なれど梅香る
- 山梨県 堀内郁恵
- 梅ふふむ枝に列びし鳥何羽
- 白き富士裾の庭に梅香らん
- 愛媛県 高橋美弥子
- 父の忌や寒紅梅の匂ひけり
- 早梅や風の吹くたび香を運ぶ
- 東京都 かつこ
- 杖をつく夫の左手梅一輪
- 亡き友の更地に残し梅の花
- 東京都 まどん
- 主逝く追うて妻逝く梅の花
- 筆買うて天神さんの梅ふふむ
- 埼玉県 小玉拙郎
- 檀家には知る人多き庫裏の梅
- おみやげの梅は落雁紅と白
- SLの右も左も梅の丘
- 岡山県 名木田純子
- 梅の香を裏返したる絵馬の風
- 梅の香を広げる空のありにけり
- 神奈川県 海野優
- 梅が香や躙り口まで匂ひけり
- 一輪の梅の香りし茶席かな
- 東京都 皆川里枝
- 梅咲くや白寿の伯父のほほゆるみ
- 梅咲いて故郷の便りを待ちいづる
- 東京都 紫鴬
- サクラサク 天神梅の 任重く
- 梅白し 新横綱が 誕生す
- 梅林や 八分咲きなり ラビリンス
- 東京都 烏梅
- 梅の枝 御籤の白き 結び花
- 梅日和 美空ひばりを エンドレス
- 梅ふふむ 味噌汁いりこ 出汁をとる
- 東京都 十六年
- 梅ふふむ 最低気温 更新す
- 梅月夜 日本酒抱え 友来たる
- 梅日和 マイルス・デイビス 大音量
- 神奈川県 長瀬正之
- 梅の香や明の三日月冴え冴えと
- 梅ひらく長くなりたる立ち話
- 温暖化香の未熟なる野梅かな
- 盆梅の蕾数へる幼の手
- 風はこぶ梅の香ちらす風の午後
- 千葉県 二階堂脩一朗
- 琴の音や猫も見あぐる枝垂れ梅
- 神奈川県 川島欣也
- 築山の梅変わりなき廃れ寺
- 天神へお礼まわりや梅ふふむ
- 天神の梅にみくじやかた結び
- 盆梅の気品百年失わず
- 梅一輪茶室の闇を点しけり
- 三重県 阪倉弘一
- 咲いている 鉢より暮るる 梅の花
- それぞれに 彩もちており 梅の花
- 木簡の かけら出てきて 梅薫る
- 観梅の 香りて空に 展(ひろ)がりて
- 廃校の 梅のさかりを 誰も知らず
- 千葉県 山田香津子
- 口笑う抱き上ぐ嬰や梅ふふむ
- 在りし日の友のお点前寒紅梅
- 蔵の街過ぎゆく先や梅真白
- 愛知県 川俣周二
- 水清き長良の畔梅香る
- 移築せし茶室に白き梅一輪
- 膨らみし梅の蕾の息吹かな
- 氏神を代々守る梅古木
- 人知らぬ小さき社の梅白し
- 福島県 いらくさ
- 白梅の今朝試し打ち二三発
- 真夜に来る猫祖母梅の順番よ
- 四人の媼の梅に操らる
- 探梅や後ろ手の手の微笑みぬ
- さんざめきの周波に起つや臥龍梅
- 埼玉県 哲庵
- 別れなど無きかの如く梅薫る
- 裂帛の気合い漏れ来て梅真白
- 残業の我を迎える梅の花
- 満開や父の遺せし臥龍梅
- 気がつけば紅梅多し裏通り
- 神奈川県 重兵衛
- 長旅の終りて家の白き梅
- 引越のその日の朝の白き梅
- 白梅や合格通知待つ夕べ
- かはたれの境内の隅梅白し
- 梅真白晩成横綱良き口上
- 兵庫県 西山恵美
- 梅の花木にとりつけて愛でる子よ
- 太宰府や梅の鉛筆かじり解く
- 梅の酒あなたの移る香りせり
- 神奈川県 髙梨裕
- 病室の窓ひと枝も梅の花
- 暮れる日を惜しみつ梅と佇みし
- 礼拝堂梅の香誘う瑠璃の窓
- 去りがたき恋も幼き梅の里
- 縁側の猫も居眠り梅の花
- 長野県 星野勝
- 花もよし幹もまたよし梅見かな
- 日溜りの梅の大樹やもう蕾
- 老梅は朽るでもなく蕾つけ
- 老梅の幹黒々と鱗立て
- ごつごつの梅の木昇る夢を見る
- 東京都 ゆり
- 梅咲くや香りほろ酔い母の庭
- 梅ちらほら絵馬裏返す親子かな
- 京都府 中村万年青
- 盆梅や年経る幹の傾ぐ影
- 紅色の傘開きたるしだれ梅
- 探梅や若い人見ず梅の園