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- 俳句庵 2013年10月 優秀賞発表
- 俳句庵 2013年10月 作品一覧
俳句庵
10月『木の実』全応募作品
(敬称略)
- 埼玉県 哲庵
- 武蔵野を迷い歩けば木の実降る
- 青春の思い出ベンチ木の実降る
- 背比べばかりしたがる木の実かな
- 心棒の斜めになりし木の実独楽
- 木の実にて算術習ふ山の子は
- 大阪府 太田 紀子
- 木の実持ち僧の説法聞いてをり
- 木の実一つ転がり出たりランドセル
- 木の実落ちギブスのなかのかゆさかな
- 東京都 安西 信之
- ポケットは栗鼠のほつぺた木の実落つ
- ドロップの空缶に鳴る木の実かな
- ドロップの空缶せめて木の実とす
- 軒下の網に干るる木の実かな
- 不揃いの木の実いずれも粒揃い
- 栃木県 長浜 良
- 一陣の風の終りの木の実雨
- 泣きじゃくる子の握りたる木の実独楽
- トラックの荷台に踊る木の実かな
- 愛知県 山歩
- とんころと荘の屋根打つ木の実雨
- 丑三つの静寂を破る木の実かな
- 九十九折の木の実あまたの塩の道
- ポケットを零れ落ちたる木の実かな
- 腰曲げて木の実を拾ふ背にまた
- 神奈川県 長瀬 正之
- うたひとつなせぬ旅の夜木の実落つ
- 木の実落つ尺鯉の鰭ひとひねり
- 木の実戦争勃発す自習時間
- 川底に木の実集まる流れあり
- 千葉県 横井 隆和
- つるっパゲ ベレーに隠す 木の実かな
- 半眼の 耳の遠くへ 木の実雨
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 雨上がり駆け出す子らの手に木の実
- 東京都 右田 俊郎
- 吹く風に木の実ぱらぱら降る夕べ
- 園児らは拾ふ木の実を競ひ合ふ
- 木の実落つふと目を覚ますひとりの夜
- ポケットは木の実いっぱいふくらめり
- 拾ひたる木の実しっかと握りしめ
- 佐賀県 平吉 俊郁
- 児が入れし宝石箱の木の実かな
- 神奈川県 志村 宗明
- セントラルパークの木の実ポケットに
- 人前に立つが苦手の木の実かな
- 教科書に隠れて回る木の実かな
- 降りしきる木の実を抜けて走りけり
- 物置の屋根騒がしき木の実かな
- 大阪府 横山 泰典
- 垢抜けて軽き都会の木の実かな
- 木の実落つ裏階段のハイヒール
- 埼玉県 ―
- 食卓に木の実置きつつひとりごつ
- 木の実独楽逆さに立ちしころ滑る
- 渦巻きに木の実ひとつの洗濯機
- 東京都 鈴木 直子
- 木の実落つ波紋連ねて入江まで
- 捨てらるるまでが命の木の実かな
- 揉めごとを消し去る夕べ木の実踏む
- 千葉県 出口 英子
- 木の実手に真紅に燃えて筆さそう
- 物言わず朽ちて木の実の哀れなり
- 木の実降る悲しむごとく一滴
- 音もなき池を覆いて木の実立つ
- 昼下がり木の実憩いて膝枕
- 東京都 蘭丸
- 九九知らぬ子等が分け合う木の実かな
- 木の実降る幾度も掴む虚空かな
- 黙りて子供負かすや木の実独楽
- 梯子掛け登る最中や木の実雨
- 北海道 飯沼 勇一
- 木の実降る縄文の血の騒ぎたる
- その音に高低のあり木の実雨
- ポケットに木の実独楽詰め友見舞ふ
- 経読みの息継ぎごとに木の実降る
- 独り寝を木の実時雨の訪ね来る
- 東京都 岩崎 美範
- 木の実降り妻の孤独の始まりぬ
- 大阪府 瀬戸 順治
- 折り鶴と木の実置かれて旅の卓
- 静岡県 柳谷 益弘
- どんぐりで孫のよろこぶ首飾り
- どんぐりのバランスの妙やじろべえ
- 手いっぱい小さき孫の木の実かな
- 細枝に紅くかがやくユスラウメ
- 金づちで手もと狂わせオニグルミ
- 大阪府 小島文香
- 補助輪のはずれて嬉し木の実降る
- 大人にも優しくなれる木の実かな
- 木の実入る小さなポッケ膨らんで
- 図工時に木の実ひと役かつてをり
- 木の実降る郷は今頃刈入れ時
- 東京都 大槻 実
- ウオーキング 木の実を踏んで 秋を知る
- 小さな子 大きな木の実 にぎりしめ
- 木の実の名 ネットで調べる 秋の夜
- セミの音が 聞こえなくなり 木の実落ち
- 木の実落ち 地球の資源に 思い馳せ
- 東京都 笹木 弘
- 仏足石の窪みに木の実落ち着けり
- 石段を大きく跳ねし木の実かな
- 露天湯の落ちて拾わる木の実かな
- 兄ちゃんのはやっぱり強い木の実独楽
- 木漏れ日を浴びて艶めく木の実かな
- 埼玉県 守田 修治
- 廃線の横川峠木の実降る
- 木の実雨ジーンズの尻に文庫本
- 寛永寺読経に和して木の実降る
- 拾われず眠りについた木の実かな
- 東京都 宗田 利一
- 山荒れて木の実しぐれの下山かな
- 宿題に木の実の城や三年生
- 園児等の競いて木の実拾うかな
- ずっしりとセコイヤ杉の実巨大なり
- 園児等のポケット一杯木の実かな
- 京都府 ―
- 栗のいが色が変われば食べごろに
- 台風で届かぬ木の実手の中に
- 秋くれば銀杏拾い犬危険
- ドングリを集める度に熊思う
- 東京都 岩川 容子
- 野仏の供物に混じる木の実かな
- わんぱくに恋らしきもの木の実独楽
- 山里のバスを待つ間の木の実雨
- 山口県 山縣 敏夫
- 連れ合いと山道に聞く木の実雨
- 木の実降る昭和の谷はセピア色
- 山深し苫屋の屋根に木の実落つ
- 六十五迷路の門に木の実落つ
- 山門に犬がじゃれ合う木の実かな
- 岐阜県 ときめき人
- 木の実落つ異常気象の今日ぞ
- 東京都 蒼野蘭介
- 水面鳴る木の実時雨や遊歩道
- すれ違ひ思ひだしけり木の実落つ
- 縁側に影長く引き木の実独楽
- 白皙の三四郎の指木の実独楽
- 人声の高き夕べや木の実降る
- 埼玉県 大野 美波
- 美しき子リスのために木の実落つ
- 木の実つき木々のやさしさあふれだす
- 木の実つき村の子供はうれしそう
- 木の実の赤そらの青
- 亡くなりしかかあのように木の実つく
- 東京都 岩崎 美範
- 嬰眠る右手に木の実握りしめ
- 岡山県 名木田 純子
- 木の実落つ音に来し方振り返り
- 掌に木の実の増せる光かな
- 木の実落つ森の高さの音として
- 大阪府 永田
- 量らずともさささでよろし実山椒
- パンづくり胡桃割りのみ手伝へり
- 東京都 岩崎 美範
- たらちねの母の寝息や木の実落つ
- 長野県 秀山
- 永代の時を静観木の実の母
- 朝散歩木の実拾いて残り香
- 神奈川県 佐藤 博一
- 少年の眼で拾ふ木の実かな
- 青森県 高松遊絲
- 木の実降る音立つるやう立てぬやう
- 木の実落つ拾って欲しい人が来る
- 葉をすべり枝にこっつん木の実落つ
- 神奈川県 川島 欣也
- 五線紙の木の実音符ドレミファソ
- 縄文のタイムカプセル木の実かな
- 艶やかな木の実が二つ老翁の手
- 今朝の雨木の実鋪道へ敷きにけり
- 引出の奥の木の実や子の宝
- 大阪府 津田 明美
- 木の実独楽井筒の恋に回りけり
- 木の実降る記憶の地図はこのあたり
- 抽斗に想い出一つ木の実独楽
- 神奈川県 守安 雄介
- 風籟を追いたる地籟木の実雨
- 妻の腹蹴りたる胎児アケビの実
- 空に舞う蛇の目の如きアルソミトラの実
- 森渡る風の後追う木の実雨
- 兵庫県 祥江
- 幼子の両手に溢れる木の実かな
- リュックから木の実でてきた山登り
- ままごとの木の実でお花買いに行く
- 一粒の木の実につまった命あり
- 思い出の木の実はここに残りけり
- 兵庫県 山地 美智子
- よく回る祖父の手に成る木の実独楽
- 日当たりの窪地に溜まる木の実かな
- 木の実落つ目瞑るままの地蔵尊
- ポケットの木の実に気づく夜の机
- 木の実降る音を聞くかに地蔵尊
- 富山県 岡野 満
- 園児らの木の実数える声高し
- 東京都 村上 ヤチ代
- お手玉に詰めて軽やか木の実かな
- 東京都 加藤 慧
- くぬぎの実 背伸びしながら 声かける
- 兵庫県 紫水
- 木の実降り池の波紋に揺らぐ月
- ふるさとの庭の木の実や父の墓
- 神社への階段に降る木の実かな
- 木の実蹴る子どもの背には塾リュック
- 浅草のダンサー赤き木の実かな
- 愛知県 新美 達夫
- ジャズが好きシャンソンが好き木の実落つ
- 秋だぞと囃せば落つる木の実かな
- 団栗を避けて歩幅の定まらず
- 子の飽きて木の実歩道に拾はれず
- 茨城県 小橋すなを
- ひろがって消へゆく波紋木の実落つ
- 降りかかる星屑の音や木の実雨
- 木の実落つむりやりひらく子の拳
- とびはねてやんちゃ坊主の木の実独楽
- 筆入れに仕舞ふ一粒子の木の実
- 神奈川県 佐藤 博一
- 眠る子の握り締めたる木の実かな
- 東京都 きょうやん
- 母の手に 一つの木の実 渡しけり
- こんこんと トタンの屋根に 木の実ふる
- 筆箱に 茶色の木の実 しまいけり
- 東京都 杉本 とらを
- 家族分貰ひて帰る木の実独楽
- 木の実踏む音に番犬吠えにけり
- 岐阜県 金子加行
- ポケットに森の匂ひの木の実独楽
- 木の実落つ音に目覚める山の宿
- 木の実雨森に嵐を置ひてゆく
- 木の実雨こぼれを拾ふ無人駅
- 生きのびる岩の割れ目の木の実かな
- 長野県 木原 登
- 出し抜けに脳天を撃つ木の実かな
- 弟は今も五歳や木の実降る
- 老いてなほ親しきものに木の実あり
- 両手もて栗鼠の頬張る木の実かな
- 神奈川県 佐藤 博一
- 拾はれて明日をも知れぬ木の実かな
- 埼玉県 柏木 晃
- 木の実落つ森に独りの画学生
- 木の実落つ森に広がるわらべうた
- 木の実独楽芯は途軸に気脈あり
- 境内にかしわ手響き木の実落つ
- 山晴れて木の実豊かに日本猿
- 千葉県 伊藤 和幸
- 切株に暫し休むや木の実落つ
- 木の実降る翁の句碑にわが肩に
- 孫帰り畳に一つ木の実独楽
- 埼玉県 岸 保宏
- 子を寄せて木の実の独楽をまわしをり
- 列長く木の実拾ゑり芝居小屋
- 額ほど小さな庭に木の実降る
- 木の実落つ鳥居に当たりポコポコと
- 神奈川県 佐藤 博一
- 見つければ拾ひたくなる木の実かな
- 縄文人かくやと拾ふ木の実かな
- 埼玉県 井上 寿郎
- 抽斗に眠る木の実の過去未来
- その時の木の実の硬さやはらかさ
- 彫像は戦国武将木の実独楽
- 秘湯への道なき道の木の実かな
- 東京都 長峯 雄平
- ひれ伏して地球最期の木の実かな
- 新潟県 近藤 博
- 木の実落ち一つ落つれば百の落つ
- 落つるかと見るに降り落つ木の実かな
- 木の実降る音の高低リズミカル
- しゃがみ込み木の実拾ふや山の路
- 宮城県 石川 長二
- りす埋める木の実はやがて森になる
- 独楽のよう木の実を回す孫の顔
- 仏壇に木の実を編んで供えをし
- 宮城県 石川 初子
- 三匹の猿に化けたる木の実かな
- 北海道 江田三峰
- 北大の銀杏拾ふ人数多
- 竹竿や栗の実落つる音立てて
- 知事公館園児ら来る木の実降る
- 子等作る楊枝を刺して木の実独楽
- 落ちそうな木の実めがけてブーメラン
- 福岡県 紙田 幻草
- 木の実降る音か木の葉の降る音か
- 椎の実を拾ひつ登る仏道
- 団栗のころがってゐる囚徒墓
- 待ち人は来らず木の実零れけり
- 千葉県 高橋 三恵
- 木から木へ木の実啄む賑やかに
- 山口県 古伊万里
- 木漏れ日の銀杏拾うほおかぶり