- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2012年05月 優秀賞発表
- 俳句庵 2012年05月 作品一覧
俳句庵
5月『立夏』全応募作品
(敬称略)
- 日にあらた日々あらたなる夏来る
- 白雲が鉄塔撫でし立夏かな
- 新しいめがねおねだり夏来たる
- 人影を小さく立夏の昼下がり
- 腹ばいの朝礼台に夏が来る
- 夏に入る表面張力のコップかな
- 庭石に 思考の蟇や 夏来る
- 江ノ島の立夏を聞きし波の音
- 新築の 駅前交番 夏は来ぬ
- 堂々と立夏の湖に海賊船
- 中学の 下校の楽も 夏は来ぬ
- 真つ白な下着に着替へ立夏かな
- 夏来る 夕べの書架の 蔵書印
- 十五歳 立夏のリュック 過積載
- 夏立つや 風に摩耗の 摩崖仏
- 高校生 立夏のリュック 辞書二冊
- 夏立つや 名刹の屋根 反り極め
- 夏立ちぬ 甥の身長 ぐんぐんと
- 静けさといふ音を知る今朝の夏
- 入乱る抽斗の四季立夏かな
- 山の菜や笊より立夏今朝の膳
- 夏立ちて吾子とまどろむ昼下がり
- 昼の月湯客見下ろす立夏かな
- 特売のチラシ濡れをり夏に入る
- 半袖の母はきりりと夏来る
- 一面のコラム楽しや今朝の夏
- 鉄棒の温度で気づく立夏かな
- 新しき 恋の予感や 夏来る
- 他校の子チームに加わり夏来る
- 不夜城の 少女の衣服 立夏かな
- 夏立つや潮入川の光る
- 風を切る サイクリングや 夏来る
- 手庇で坂道登る立夏かな
- 被災地の 海も街にも 夏来る
- カーテンを替えて風来る立夏かな
- ひたむきな 球児の瞳 夏に入る
- 柔らかに剃刀走り夏来る
- 神職の 清めたる庭 夏に入る
- 新艇を漕ぐたびに夏立ちにけり
- ネクタイをすこしゆるめに立夏かな
- 夏立つや水のベニスの本を買う
- 風はらむ曇の帆船立夏かな
- 箱根路やペンキ塗り立て夏に入る
- 夏来たる弾痕古ぶ寛永寺
- 富士を見て富士に見られて夏来る
- 銅鐸の流水紋様夏に入る
- ライオンのあくびたびたび夏に入る
- ジーンズを叩きて干すや夏来る
- 夏に入り原発すべて停止せり
- 貯木場の年輪匂ふ立夏かな
- 口ずさむ小学唱歌夏は来ぬ
- 山水の白くかがやく立夏かな
- 駅頭にビラ配る人夏来る
- 幹濡らす立夏の雨となりにけり
- 濃さをます樹々のみどりや街立夏
- 光体の少年少女夏来る
- 鱶鰭を干す気仙沼夏来たる
- 夏立つと緑を競ふ木曽の木々
- 夏に入り街路樹の影濃くなりぬ
- 白樺のいよよ真白く夏に入る
- 背の君をテラス席にて待つ立夏
- 恐竜の化石発見夏は来ぬ
- インターハイ予選突破や夏来る
- 神々が跳箱を待つ立夏かな
- 気がつけば腕まくりしてゐる立夏
- 帆にしがみついて立夏であると言え
- スカートの丈の延びゆく立夏かな
- ばしばしと蛇口怒って夏来る
- 夏立つや井戸に伏せ置く金盥
- 夏来る次の元号提案す
- 出迎えの阿吽目を剥く立夏かな
- 宇宙船に伸ばす両手や夏来る
- 干物に白地の目立つ立夏かな
- 夏に入る海にまつわる展示室
- 吟行に水辺恋しき立夏かな
- 草木しげ 立夏の仲間が 勢ぞろい
- 連山の突然近づく今朝の夏
- 夏来る船見に行く日しるしつけ
- 渓流の白泡弾け夏に入る
- 夏に入る窓開け放つ浪人生
- 老眼鏡新しく替へ夏に入る
- 夏立つや明日は遠出の予定とか
- 砂防林深呼吸してをる立夏かな
- 格子戸の多き町並み立夏の灯
- 夏来る五臓六腑が深呼吸
- 花少し持ちて母訪う立夏かな
- 恐ろしきほどの乳房や夏来たる
- 夏来る若きナースの脚線美
- 相輪の大鎌光る立夏かな
- マネキンも身を軽くする立夏かな
- 夏立つや筑波にかかる浮浪雲
- 茶摘み歌今は聞こへぬ立夏かな
- 眼帯の白鮮やかに夏来る
- 石畳み素足にふれる立夏かな
- サイドカー付けしハーレー夏来る
- 蒼天の立夏へ岩踏みしめる
- 巻貝のピアスの揺れて夏来る
- 白球と歓声はるか立夏へと
- 夏来る銀座オープンカフェテラス
- 褓とり尻の青さの立夏かな
- 透きとほるまで窓みがき立夏かな
- ざわざわと風に黍鳴る立夏かな
- ブラウスの胸乳(むなぢ)透け見え夏来る
- 湯上りの足跡つづく立夏かな
- ゆらゆらとそよぐ街路樹夏に入る
- 夏来る空隠すほど楠大樹
- あおあおと海の果てまで夏来る
- 仰ぎ見るすべてまぶしき立夏かな
- 豆腐屋の水の澄みいる立夏かな
- 炊立ての朝めし三倍立夏なり
- 姉様の襟足白き立夏かな
- 夏来る子は道草の味覚へ
- 街の音絶えて立夏の銀座裏
- 忘れ潮ひかり蠢く今朝の夏
- 花時計午後の陽遊ぶ立夏かな
- 島を出る裔またひとり夏立ちぬ
- 夏来る男傘寿の力こぶ
- 右手削ぐ木偶の汀や夏来る
- 亀池の亀身じろがず立夏かな
- 瓦礫浜夏に入る日の座礁船
- 連れだって立夏の雨に五六人
- 立夏てふ老婆の思案に聴きをりぬ
- 夏立ちて窓みな開く保育園
- 廃村に夏はじまりぬ津波痕
- 夏立ちて山の駅舎に人の声
- 菜園の草伸び盛る立夏かな
- 船が行く水脈のまぶしき今朝の夏
- 汗ばみて草ひく夫の背中かな
- ひと雨に緑深まる立夏かな
- 初恋の白いTシャツ立夏かな
- 公園の整備も終り夏は来ぬ
- 海苔茶漬け啜る独りの立夏かな
- 働きも遊びも楽し夏に入る
- 君子蘭朱に染まりたる立夏かな
- 夏来る大地躍動近ずきぬ
- 粽喰い今宵節分明日立夏
- 夏に入る集ふ札幌大通
- 甘夏の二箱終へし立夏かな
- 夏来る過客札幌大通
- 隧道の闇一点に立夏光
- 札幌の観光馬車に乗る立夏
- 立夏とは名のみぞ翳の小路かな
- ハイヒール軽やかな音たて立夏
- 星になりあなたはみている立夏かな
- ネクタイの結び目固し立夏なり
- 風はこぶみどりの匂い立夏かな
- 目標の見えたる部活立夏かな
- ふるさとの風がすぎてく立夏かな
- スニーカー 木影に洗う 立夏かな
- 墓石に陽がうちつける立夏かな
- 窓と言う 窓開け放ち 夏を入る
- 逆立ちがうまい子笑う立夏かな
- 鍬休め 立夏の風の 木影かな
- 跳び箱が重きを支えて立夏かな
- はしゃぎをり 立夏の社に 笛太鼓
- 色浅く榛名の峰の立夏かな
- つば広ろの 帽子行き交う 立夏かな
- 定刻に校歌流れる立夏かな
- 長袖の袖をまくりて夏来る
- 立夏かな海苔せんべいの香しく
- 市役所の戸籍係や夏来る
- 初任地の校旗まばゆし立夏かな
- 口笛に合わせて歌う立夏かな
- 廃屋の前のバス停立夏なり
- 隣より砂糖を借りる立夏かな
- 山の子の海の子となる立夏かな
- 飯ごうに湯気の溢るる立夏かな
- 颯爽と染み入る風に青蛙
- 川底に素手を差し込む立夏かな
- 感じている立夏の匂ひだいちから
- 立夏には立夏のメニュー髪束ね
- 立夏にて影も風さえ近やかなり
- 立夏から目標ひとつ減らしをり
- 頬杖の杖折るひかり立夏にて
- 職場には職場の顔で夏に入る
- 弾む陽に立夏のこころみやぶる陽
- 夏来る好きな人にはいじわるして
- 念流の剣の風や夏来る
- 夏来るあなたはあなたあっち行って
- 尾を垂れて野路行く犬の立夏かな
- 夏来る神秘体験増えにけり
- 石仏の慈悲の微笑や夏に入る
- 通り雨 空七色に 夏立ちぬ
- 半袖を着てみたくなる立夏かな
- 自販機の あたたかい消え 夏来る
- 暖かき立夏の窓に小鳥くる
- 風抜ける 広間で昼寝 立夏かな
- 夏来ても 鮎釣りできぬ 水さわる
- せせらぎも風もまぶしき今朝の夏
- 潮干狩り 解禁ならず 貝肥える
- 杉の秀のとどく青空夏に入る
- 独り居の 仮設に響く 雷雨かな
- 風見鶏南を向いてゐる立夏
- 立夏なり戦の話聞く旅へ
- 壁白く塗りて立夏の異人館
- 格安の航空券を購ふ立夏
- 弓なりに伸びる立夏の水平線
- 寅さんの笑顔の如き立夏かな
- 山の名は槍や剱や夏に入る
- 夏来るスカイツリーの高さより
- 花活けて床の間飾る立夏かな
- 高らかに立夏の缶を蹴りにけり
- 床の間の掛軸替へて夏に入る
- 野菜の値大幅に下げ夏に入る
- 夏立つや賑はひの増す河童橋
- 稚魚増えて 水槽狭し 立夏かな
- 甲斐駒の雲寄せつけぬ立夏かな
- 波音を波音洗ふ立夏かな
- 別荘の雨戸開けるや夏に入る
- 海蒼く山また青き立夏かな
- 黒鍵を多めに叩く立夏かな
- 欝の友土手で寝そべる立夏かな
- シャンソンは親しみ易し立夏かな
- 立夏かな立ち食いそばの出汁熱し
- 竿竹を売る声のして夏来る
- ミニスカの君とボートの立夏かな
- 黒髪をポニーテールに夏来る
- 両国へ青空続く立夏かな
- 美容師のはさみの軽き立夏かな
- 立夏かな深川あたり陽は甘し
- 卆寿まで あと一息の 立夏かな
- 立夏かな君くださいと君の里
- 立夏にも 倒木に咲く 二輪草
- 南から川面を上る雲立夏
- 風を飲み 暴れ真鯉の 立夏かな
- クール系目薬嬉し立夏かな
- 床屋にて髪を刈り上げ夏来たる
- マネキンのクールビス着る立夏かな
- 物言わぬ物憂いばかりの立夏かな
- 二の腕へ袖捲くりたる立夏かな
- 夏立ちぬ旅の衣を整える
- 砂浜を裸足で駆ける立夏かな
- 夏に入る開いた頁に虫降りぬ
- 若者のネクタイ据わる立夏かな
- 禅寺で眠気こらえる立夏かな
- 退院日 歩みたじろぐ 立夏かな
- アルバムをめくり涙す立夏かな
- ありがたき 未病側妻 立夏かな
- 清浄と並ぶ立夏の太柱
- 軍港に 夏のきらめき 父祖偲ぶ
- 夏立つや日をはね返す屋根瓦
- 珍しや 妻が鼻歌 夏は来ぬ
- 歩数計つけて吟行夏来る
- 夏立つや ただなすがまま あるがまま
- 中間テスト済み少年に夏来る
- 躍動の立夏の叫びサッカー部
- 隠居して精出す遊び夏来る
- 健やかな声校庭に立夏晴れ
- 雲一つなき青空や夏来る
- スカイツリー立夏の空を近くする
- 女子アナが笑顔で告げる立夏かな
- 立夏晴れ布の魚が空泳ぐ
- 緑濃くきのうより濃く立夏来る
- アドバルーン立夏の空を使い切る
- 立夏いつ天眼鏡で暦見る
- 思い切り立夏と遊ぶ園児たち
- 見わたせば俺ひとりの立夏かな
- 緑濃く立夏の庭の狭くなる
- ひとのこころに棲みつく立夏のころ
- 神木も葉陰増やして夏に入る
- 口元に仏の微笑夏来る
- 夏立ちぬ小屋より農具放り出し
- 昨日とは違う顔して夏来る
- ひねもすを牛の反芻夏来る
- 神さまは時に気紛れ夏来る
- どの店も立夏の構へ京の町
- 天真にして爛漫の夏来る
- なまものの俎板洗ふ立夏かな
- いつだつて無防備のまま夏来る
- 水の音戻りて夏の立ちし村
- 誰もみな輝く顔の立夏かな
- 立夏には吾が子も慣れし新教師
- 木道に肩の触れ合ふ立夏かな
- 立夏なる森深くして巫女の笑み
- 海騒ぐ海苔まき囲む立夏かな
- 立夏には絵の具の海と空と人
- 立夏たつおにぎりひとつハイキング