俳句庵

8月『枝豆』全応募作品

(敬称略)

菜園のつまみ間に合う夏座敷
枝豆と水魚の仲の麦酒かな
枝豆や緑になごむづんだ餅
鈴生りの枝豆無心に食べ尽くす
梅雨寒や枝豆ひとさらゆであがる
気がつけば枝豆の莢山となり
湯で加減ほめて枝豆つまむ客
枝豆や噂話に耳を向け
塩加減みる枝豆の3つ4つ
枝豆や人事話しに敏くなり
枝豆や五十回忌のはかりごと
枝豆に長幼の序ありにけり
茹で上がる枝豆さっと塩をふる
枝豆を食べ二次会を打ち合わせ
止まり木に黙し枝豆食む男
枝豆に飛び交ふお国訛かな
枝豆をひとつかみして子の逃げる
ネクタイを外し枝豆囲みけり
さあ食えと茹でた枝豆笊に盛る
枝豆や世間話に通じをり
枝豆を食むに忙しき漢ふたり
枝豆や乾杯の声飽きるほど
枝豆や議論はどうでも良くなって
枝豆を食べて裃脱ぎニけり
聞き上手枝豆好きの下戸の友
枝豆やジョッキの壁に囲まれて
枝豆やつまむほかなしゆで加減
枝豆やみな安産でありにけり
夏の日に家族ほおばる枝豆を
枝豆の口の堅さに気を許し
枝豆や塩を強めに明日の糧
枝豆のほど良き色や茹で加減
枝豆をつまむネールに紅の花
枝豆を囲み胸襟開きけり
枝豆や幼き頃の翡翠玉
枝豆を食べ一人身の淋しさや
枝豆や黄緑色かくあるべし
宴まず枝豆色でもてなされ
枝豆や黄緑肌がつるりなり
枝豆と共に夏の来たりけり
枝豆や田の畦に植えし故郷
枝豆や会社情報知り尽くし
枝豆が飛び出し伸びてジャックの木
枝豆は父の好物盆支度
枝豆や婆の十八番は笠地蔵
枝豆を囲む仲間の上戸下戸
枝豆に思い出つまる故郷かな
枝豆の減ってジョッキの増えにけり
枝豆や莢のまたよし季は移り
残業は枝豆付けて屋上で
枝豆や白磁の皿に相応しく
枝豆の嬰児はじく元気かな
茹で上がり枝豆粒の鮮らけし
枝豆や人を和ませ弾ませて
莢大き順に抓むや月見豆
とりあえず麦酒・枝豆頼みけり
枝豆に茹でる技あり塩加減
枝豆をつまみ語らむ父のこと
軟弱に茹だる枝豆妻機嫌
枝豆や耳敏けれど口堅し
枝豆の莢に収まり体をなす
朝採りの枝豆にある色香かな
枝豆や「食べて」とメモ添へ勝手口
枝豆に大粒小粒ありにけり
枝豆の莢嵩張りて小さき皿
枝豆や口八丁を聞き流し
茹で上がりみどり滴る月見豆
一つ食べ枝豆の手の止まらざる
みどりとはこの色枝豆茹で上がる
枝豆を食べ時間を忘れゐし
朝採りと枝豆商ふ農の嫁
見繕ふ間も無き枝豆麦酒かな
枝豆にさっと手の出で莢大き
枝豆に人生の起伏ありにけり
枝豆の莢ごと口に旬の味
枝豆の鞘を弾きてみどりごら
枝豆の大皿はみだす夕餉卓
枝豆の鞘を弾きて嬰児ら
枝豆のみどり見てさへ旬の味
枝豆や三人姉妹とふ酒場
枝豆のこの家の色に茹で上がり
枝豆の笊熱きまま夕餉かな
歯触りのこれぞ枝豆今が旬
枝豆や妻への指輪今年こそ
枝豆や青より出でし濃きみどり
枝豆の飛びて話を軽くせり
枝豆やさやよりポロンと飛び出しぬ
枝豆やくちびるを刺す毛の青き
枝豆やサファイヤのごときらめけり
大鍋に枝豆どさと茹であぐる
枝豆はビールのために生まれけり
茹でたての枝豆を盛る飯の上
枝豆を少し煮すぎて叱られる
枝豆の莢剥くひとの指美しき
枝豆のさやよりコロンと転がりぬ
枝豆やいつも変わらぬ塩加減
枝豆の匂いが運ぶ夏の風
枝豆やもうすぐ彼の着く頃か
枝豆をつるつる食べる祖父の笑み
枝豆で酌むや敵地のファン共に
枝豆を一品卓を彩りぬ
枝豆の笊一杯を縁台へ
枝豆のつるりつるりとさやの山
枝豆のゆで方コツは風味かな
枝豆をつまみ揉むほど艶のあり
枝豆が撥ねてきそうな湯気の香や
塩味の引き立て甘く枝の豆
枝豆を抓みてのちのきりもなし
枝別れして枝豆の子沢山
だだちゃ豆だだちゃのさげて来たりけり
枝豆を男の顔で噛むでをり
枝豆がピュッと口にダイビング
枝豆や弾けるやうな子を育て
三つ子かな中に並んだ枝豆ちゃん
枝豆を食べて仰げる十三夜
食べる口話す口別月見豆
枝豆や麦酒の欲しき顔をして
枝豆に手塩をかけてひと区切り
枝豆の色で見分ける茹で加減
枝豆の産毛を撫でて王手打ち
枝豆のふくらみを買ふ朝の市
枝豆の殻山として呑み仲間
枝豆の茹で加減塩加減母の味
枝豆のほっと膨らみ孫がくる
枝豆を父とつまんだ遠き日々
枝豆や花子に美しき八重歯あり
枝豆や少年の眉凛々しくて
枝豆を飛ばして食べし青春期
枝豆の緑引き出す塩加減
枝豆を盛る竹笊の湿りかな
枝豆や口尖らせて男の子
巷説と枝豆つまむ子弟かな
枝豆を家長の顔でつまみをり
父と母枝豆食べるおつまみに
枝豆の茹り加減は母の勘
枝豆の運ばれてくる下駄の音
枝豆の皿をはみ出す一枝かな
友と語り杯かさねし枝豆か
枝豆の山を築きつ酒友待つ
枝豆の振り塩清し月明し
故郷の土付け枝豆届きけり
枝豆を食みなつかしき人思ふ